世界終末戦争、それは長らく続いた西暦を〝新世界歴〟に置き換える〝勝者のいない戦争〟となった。世界終末戦争時の記録とそれ以前の記録は多くは残されていないが、その戦争の引き金となったのは、有力な一説には“技術的特異点シンギュラリティ”への人類の恐れが原因とされている、戦争は長く続き、ありとあらゆる非人道的兵器がつかわれ、世界の人口はすさまじい速度で減った。このままでは人類すべてが滅亡するという所で世界中の国々は戦争を終わらせる協定を組んだ。以来、平和をもとに団結し、その停戦は実質的な平和条約となり替わった。人々は、戦争への恐れのため、“平和独立政府IGPP”を確立し、これまでの支配階級を一掃するという形で戦争への“けじめ”をつけたのだった。

 しかし、戦争の余波は大きく、世界は数少ない居住スペース、人口3万人以下のコロニーに分断された。いかに交通網をつくろうとしようも、毒ガス、生物兵器、核汚染、ありとあらゆる危険に冒されるため、人々は仕方なく安全な箇所にコロニーをつくらざるを得なくなったのだった。くしくもその状況でもっとも活躍したのが、開発途上であったAIと人型ロボットたちであった。


 その164年後、人類は長らくついに〝制約〟つきの〝特異点突破AI〟を開発した。


 そして現在、政治、軍事、警察、あらゆる統治システムはAIの管理下におかれ、そのもっとも基本的な法律のひとつが〝世界規約〟だった。


 そして、彼女らの生息するコロニーもまた、東南アジアの北西のある一か所に置かれた。

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