第8話 準備
今日は予定通り電化製品屋に行って道具を揃える。
予算は2万5千円。当時中学生の俺が小学生の時から貯めていたお年玉だ。
家を出ようといざ千円札や五千円札で出来た札束を握ると、なんだか手が震えた。
産まれて初めて持つ札束。今までずっと父や母や祖母がくれたお金。しかもそれを今から盗撮に使い果たそうというのだ。
だがその程度の罪悪感で止まる俺ではない。
決心してあのベランダに降り立った靴を履き、家を出た。
店に入りカメラを探す。なるべく小型で画質が良く、メモリに自動保存出来るもの。
しばらく店内をウロウロし、目に飛び込んで来たのは約5cmほどの小さなカメラ。画素数などの難しい説明書きはあまり理解出来なかったが、画質としては良いようだ。
値段は1万7900円。普段の小遣いを貯めようものなら半年はかかる。
半年間100円までしか使わなかった時にやっと貯まるほどの大金を、俺は大好きな女の子の胸を、尻を、全てを見るためだけに使う。
「これにしよう。」
迷うこと無く俺は、カメラを一つ抱えてバッテリーを探しに向かった。
バッテリーコーナーにつくと、一番容量のあるバッテリーは前に見た48時間駆動よりももっと長い96時間駆動と新しいモデルが出ていた。
だが値段は1万9000円。
俺の予算では到底届かない。
だが、不幸中の幸いというのか。元々買う予定だった48時間駆動のバッテリーが値下げされ、6990円と手が届く。
「買うしかない。」
…俺は罪のない二つの機械をレジに持って行き、ほとんどの予算を使い切った。
「さて、やろうか。あと8日。」
俺はついに動き出す。
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