第28話 朝食
結局、一晩中眠れなかったよ。
すぐそこに美少年の顔があってスース―息しているんだよ?
万年男日照りのミウが眠れるわけないじゃない。
しかも偶に腕枕している腕に力が入って胸元に引き寄せられるの…
これが決めてで…もう顔が赤くなって眠れなくなっちゃったよ。
「ミウ、大丈夫?! なんだか眠そうだけど?」
「理人…?」
「今、朝食作っているから休んでいて良いよ…完成したら起こしてあげるから」
「…うん」
ミウは奴隷の筈だよね?
なのに、食事を理人が作っている。
しかも…凄く美味しそうな臭いがしてくる。
「卵の目玉焼きにサラダにスープ、それとパンに牛乳…簡単な物だけどもうすぐ出来るから待ってて」
「うん…ありがとう」
エプロン姿で料理しているし…
ミウにこんな事をしてくれた人は誰も居ない。
嬉しくてつい、顔が綻んじゃう。
「はい…出来た…さぁ食べよう」
「うん…この赤いのって何? なんだか凄く美味しそう」
なんだか凄く良い臭いがする。
「これはイチゴのジャムだよ、甘くて凄く美味しいよ…食べてみなよ」
「うん…凄く甘くておいしい…ミウこんなの初めて」
「そう、良かった朝市場に行って買って来たんだ、気に入って貰えて良かった」
「嘘、早起きして態々買ってきてくれたんだ…」
「その位当たり前だろう?」
これが当たり前なわけ無いよ。
もし、これが当たり前なら、皆奴隷になりたがると思うよ。
だって、今がミウにとって一番幸せなんだから…
「凄く美味しいよ…うっうっ…..うん凄く美味しい…グスッスン、ありがとう」
「たかが食事で泣かれると困る…どちらかと言えばミウは笑っている方が可愛いから」
「それなら、これで良い?」
頑張って笑ってみたんだけど…
「う~ん、やっぱりちょっと違うから無理して笑わなくて良いよ」
「え~と、ミウの笑顔、何か可笑しいの?」
頑張って、笑ってみたのに…
「これはこれで、凄く可愛いけど…なんか違う気がする」
「う~ん、それじゃ理人だーいすき」
私は大好き…そういう気持ちを込めて笑ってみた。
「うん、凄く可愛い…」
「本当?!ミウ嬉しいな…えへへ…あれっ理人なんで目を逸らすのかな?」
しかし、理人って凄いなぁ…ミウの『作り物の笑顔』と普通の笑顔の差が解るなんて。
最初のは子供っぽく見せる為の『作り物の笑顔』
理人に喜んで貰えるなら…そう思って技術を使って最高の笑顔を作ったのに…まさか見破られるなんて。
今のは『理人が大好き』その気持ちを込めた笑顔だ。
凄いな…この差が解るなんて。
「いや、ミウが凄く可愛らしくてついね…恥ずかしくなった」
「ミウって、そんなに可愛いのかな?」
「うん、前にも言ったけど、凄く可愛いよ」
こんな風に思ってくれた人は理人以外ミウには居ない。
「えへへ、うんありがとう」
どうしよう?
ニマニマが止まらない。
「どういたしまして」
ご飯も凄く美味しいけど誰かと一緒に食べるのがこんなに美味しいと思わなかったよ…ううん、相手が理人だから美味しいんだ。
うん、目玉焼きもスープもパンも最高に美味しいけど…
目の前で顔を赤くした理人が恥ずかしそうにミウを見つめているのが…それ以上に嬉しい…もう最高だよ。
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