天国
ピヨピヨ…
ピヨピヨ…
鳥の鳴き声が徐々に聞こえるようになり、土の匂いが混じった湿った風が、眠っていた僕の精神を再び目覚めさせた。
…
うーん…
必死に目を開けようとしたが、まぶたが重く、また久々の光に対する不適の原因で、暗闇から回復まで少し時間がかかった。
僕、死んだか…?
えっと、ここは…
周りを見渡すと、広大な草原がはしっぱなく広がっていく。
草の海は吹く風に揺らいで、春風と触れ合いで奏でる音は、まるですべてのものの目覚めを祝うかのように、先ほど慌てた心がいつの間にか、この優しい景色に癒される。
でも、ここはいったい…
「よう…」
「ようこそ…」
遠くから近くに、上空の方に声が伝わってくる。
「ようこそ、A.I.S.が開発した仮想現実ゲームへ。 当ゲームには人間が一切介入せず、すべては人工知能に任され、外部のチート、およびRMTなどの不正行為は100%対策されます。あなたはこのゲームで第二の人生を与えられ、この世界において、自分なりの唯一の人間として命を彩ります」
この天の声に呼応するかのように、無数の星の光が未知の言葉のスペクトルとなり、無限に循環し、形を変えて、白い光を放つ卵のような物体に変わった。
何かが割れるような音が徐々に大きく響き、鈴の音が鳴り始めるとともに、ピンクと白の花輪をつけた謎の乙女は、虹色のプリズムと一緒に僕の前に「誕生」した。
上品で神秘的な模様の黒いベールが額を覆い、天使の羽のような白いシルクの包帯が、あらゆる塵を拒むかのようにかすかに目を覆っている。肩まで気取らない少し巻いた髪は、春の日の桜のようで、乙女のみずみずしさに満ちている。下着がわずかに見える薄黒いガーゼの修道服は、純白と金の縁取りのリボンで整然と結んで覆い、赤と黒のガーゼマントが細い肩に掛かっている。
天使…?
少女は無邪気な笑顔で僕に声をかけた。
「現実世界でのプライバシーを守るため、このゲームではニックネームを作成することができます」
「作成したいニックネームを教えてください」
ニックネーム?
自分生前の名前ってこと?
ああ…確かにそうかも。
新しい場所に行くとき、自分の名前を名乗らなきゃね。
とにかく、僕は「今」の名前を教えた。
「飛鳥」
「かしこまりました。では、次に作りたいキャラクターの性別を決めてください」
性別…か。
ある魚が性別を選べるということは教科書から見たが、天国で性別を選び直せるのは初耳だ。
なんか、読んだものの中から面白い話を思い出した。
天地が創造される前、神は聖なる土と自分の息吹を使って、最初の男性生物を創造し、彼をアダムと名付けた。アダムはエデンという庭に置かれ、そこを守る使命を与えられた。来る日も来る日も、神はアダムだけでは寂しいと思って、魔法を使ってアダムを一時に眠らせ、彼の体から肋骨を取り出して最初の女性生物を創造し、イブと名付けた。
この古き物語から、最初の人間も一部の魚と同じように、オスとメス、両方の性別をもって生まれてきた可能性があるかも。たとえば、ワニの場合、オスとメスを決めるのは孵化の温度のと同じ。
多分天国では、人間の最も原始的な姿に戻るじゃないかな。
まあ、そんな深く考えず、一応生前は女じゃないから、男になった方がいいかな。
そうと思って決めた。
「男をしてください」
少女はわずかに頭を下げ、細い人差し指を口に含み、そっと噛み切る。
「神の名において、アポロ」
少女の周りに黄金色の魔法陣が現れ、次第に大きくなっていく。
魔法陣の中央には極めて複雑な構造の太陽紋様で、外縁の方に牛や羊、音符、花や植物のシンボルが描かれている。
少女は腕を高く上げて、細い人差し指の先に、星と不規則な動きで微光が徐々に凝縮し、まばらなものから密集して一点にまとまり、一瞬にして、黄金の光で輝く聖なる炎が現れる。
少女の指は僕に向けて、
「セクスス・ダール!」
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