第7話
任務を続けていくうちに、彼がしんでいないということも、少しずつ分かってきた。
危険な任務と殺し合いだけを選んできた。そのせいで、情報の開示が進んだというのもある。
彼の写真。これは、彼が消滅する直前の環視カメラの映像を写真にしたもの。そしてこの後、彼は消える。たぶん、人ではない何かに、食われた。
と言っても、人ではないものは、人を食わない。人の感情を食う。だから、彼は、しんでいない。
「おそらく、感情を食われ続けているんだと思います」
任務と殺し合いの日々を続けているうちに、私は、彼みたいになってしまった。
「彼の持つ感情そのものが大きくて、食い進めるのに時間がかかるから、身体ごと、どこかに隠してるとか」
もはや、ぱりぴ陽きゃぎゃるではない。任務と殺し合いに忙殺され、しかもその任務と殺し合いにしか意味を見出だせない、綺麗な女の顔をした何か。ナチュラルメイク。口紅とか使わん。口紅すると、目下のくまが浮き出て見えるし。血色はこの際捨てる。
「私がやります」
彼の捜索任務。ついでに、彼を食った何かを殺す。
殺す。
自分がしんでもよかった。
私から彼を奪ったわけのわからないものを。刺し違えてでも、この世から消し去る。ナチュラルメイクの女が見せる、これ以上ない血色の良い任務。
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