第6話
書いてあった連絡先に通信して。
彼と同じ任務に就いた。彼は、仕事のことをかたくなに任務と言っていたので。私も任務と言ってみる。
任務だった。
仕事ではなかった。
殺し合いだった。
毎日。任務が終わって家に帰る度に。泣いた。
こんな、ぐちゃぐちゃとした感情のものを、彼は、ずっと、ずっとずっと抱え続けてきたのだと思うと。なみだがとまらなかった。感動でも、かなしみでもない。彼の抱えた何か、何かよく分からないものの大きさに。泣くしかなかった。
分からない。彼が抱えていたものがなんなのか。この殺し合いのなかで、彼は何を見出だしたのか。
写真を、取り出す。ずたずたになった、彼の顔。
なぜ、この顔は。こんなにも、穏やかなのか。分からなかった。どんなに殺し合いをして、どんなに危険な任務をこなしても。分からないままだった。
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