第4話

 なんか彼の任務関係とかいう人が来て、なんかの証明書とか、写真とか。置いていった。


 写真のほうは。


 落ち着いてから見てくださいって。


 後悔している。

 落ち着いて、って言葉の意味が。

 15秒前の私には、分かってなかった。


 彼がずたずたになってる写真だった。


 顔が。


 彼の顔が。


 おそろしいほどに、無感動な私がいた。

 かなしいとか、こわいとか。そういう感情は湧かなかった。

 彼がいないという事実に。

 なぜか。

 納得してしまっている。


 そこからは、簡単だった。


 彼に、はじめて会ったとき。告白したとき。

 彼の顔ではなく。彼の、その、儚そうな感じに惚れたのかもしれない。さわると消えてしまいそうな、そんな感じに。私は、引き寄せられたのかもしれない。

 それが、分かっていたから。彼がいつかいなくなると、心のどこかで、理解していたから。だから、衝撃を感じない。


 ぱりぴ陽きゃぎゃるじゃなくて、ただのサイコパスだった。ひとめぼれで一緒になって、彼がいなくなっても無感動で。なんなのだろう私。

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