第36話 教団守護神
代表の大神、副代表で神谷、そして同じく副代表の小林の3人が会議中の会議室、ドアが軽く音を奏でた。
「失礼します。地乃ですが、入ってよろしいでしょうか?」
「おう神介か、入れ」
「入ります」
神谷の声に応えてドアが開き、神介が入室した。銀色の煌めくやや長めの髪は、染めているわけではない。高校時代のあの忌まわしい夜に、ショックで一晩にして黒髪が変化してしまったものだ。
182cmの長身に黒のVネックの長袖Tシャツ、ゆったりしたブルージーンズには、両腿の部分に龍の刺繍が浮び、生地から飛び出すように踊っている。
痩身ではあるが、武道で鍛え抜かれたような筋肉質の体付きをしている。
端正な顔立ちではあるが、瞳からは感情がまったく読み取れない。漆黒で底なしに暗く無限の闇を思わせる。
大神家に伝わる古文書に記された、強大な異能力をもつ者として、あらゆる時空間の中から探し出された教団の協力者であり、代表直属の親衛隊員を務めている。
会議室に置かれた大きなテーブルを挟み、ドア側に神谷と小林が椅子を並べ、部屋の奥側に大神が座っている。
「神介くん、ここに座ってくれ」
大神に進められ、神介は大神の隣のイスに腰を下ろした。
「遅れまして申し訳ありません」
「いや、まだ約束の時間の5分前だよ。少し早めに着いたので、3人で話を始めていたところだ」
「内容は八王子の件だ。今、代表から調査の進捗状況を聞かれているが、今のところヤツらの情報は掴めていないと話をしていたところだ」
「あの事件の直前に、時空間移動して事件の状況を探れないかと意見も出たが、あの事件でのヤツらの出現がどんな状態だったのかが不明なままでは、時空間移動もリスクが伴うという話をしていたところだ」
「神介くんは、この事件の調査をどう進めるべきと考えてるのかな?」
「先ずはヤツらの出現のし方は2通り考えられます。1つは空間接続によるものか、そしてもう1つは時空間移動によるものか」
「その通りだね」
「空間接続による場合は、固定的な扉がヤツらの異世界に存在するのか。それとも時の流れの偶然の交差により開かれた扉であったのか、を推定する必要があります」
「・・・・・・・・・・」
「時空間移動であるなら、相手は強い妖力を有する妖魔クラスの敵であると思われます」
「空間接続の場合は、獣魔や使い魔の可能性もあるな。その場合ならヤツらを倒して、犠牲者となった女性を救い出すこともできる」
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