第37話 戦略会議
「小林さん、ただし相手が獣魔や使い魔であっても先ほどお話したようにヤツらが棲む異世界、妖魔界に直接つながる扉でしたら、多数、いや無数の妖体に襲われる可能性があります」
「確かに神介の言うとおりだな。ヤツらの棲む世界に常に固定された扉なら、直接妖魔界に入り込むことは可能だが、敵の数は多数。ただし偶然に開いた扉なら、その時にいた妖体も多分少数のはず」
「それで神介くんは、今回の事件は、どう推定されたのかな?」
「もちろん単なる推定ではありますが、まずあの事件現場においては、過去に事件が発生していないことから、ヤツらが意図的に襲う理由が見つからないこと。したがって妖魔自らが時空間移動してまで、出現する可能性は低い」
「ふむ、確かに・・・・・」
「さらにあの夜は、あの事件現場に他に2人の人間がいたのに、まったく襲われた形跡はなかった。ということは予め特定の目的があって、あの場所に空間接続した意味などない。つまり偶然に時空間の歪みでできた扉から、単数の獣魔か使い魔が突然現れたと考えられます」
「なかなかの推理だね。しかし例えば妖魔界から我等の世界に通じる既定の扉があり、その扉からどこかの人間界の扉を開き、人間を襲うという場合もあるのじゃないかな。ただしこの場合でも、現れた妖体はたぶん単数。なぜなら神介くんが推定したとおり、他の2人の職員が襲われなかったことを考えれば、ヤツらが多数現れた可能性は極めて低い」
「では何故あの場所に現れたのか?その意味はどう考えればいいのだろう?」
「神谷さん、単なる餌探しか、餌の調達が目的ではないでしょうか?そうでなければヤツらは貪欲で、その場にいる者全てを喰らい尽くすはずです。あの場所に扉を開いたのは、あくまでも偶然であり、その扉の近くにいた女性が誘い込まれたと見るのが一般的だと思われます」
「確かに神介の言うとおりだな。もし神介の推定した状況ならば、我等も複数で対応すれば、襲われた女性を助け出すか、それとも上手くいけば、ヤツら全体には気づかれず、妖魔界に繋がる扉を開ける可能性もありますね」
「そうだね。今まで何度となく魔物たちと戦う機会はあったが、ヤツらの棲む妖魔界への扉を開いたことはない。もしヤツらの異世界をのぞくことができれば、今後の戦いの極めて大きな成果になるだろう」
「じゃあ代表、やりますか。時空間を跳んであの事件の直前に待機し、獣魔か使い魔の出現を待ち、そいつを倒してヤツらの異世界へ侵入する作戦を」
「そうだね。たとえその扉から妖魔界へ侵入できなくても、あらゆる時空間において、人間界に侵略する魔物は根気よく倒していくしかないのだからね」
「では代表、出かけてまいります。神介、天津Gの2番隊隊長、3番隊隊長行くぞ」
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