第5話 初めての試練②
それから数分後、私は買い物リストの半分くらいの物を買う事が出来た。
店舗を色々回っている時に気がついだが、サーニャの財布は一つでもお金を残しておけば魔法でいくらでも増やせるらしい。
ただし、空になったら増えないようだ。
凄いなぁという尊敬の気持ちと、バレたら捕まるんじゃ…という不安感が私を惑わせる。
サーニャを褒めていいのか分からなくなってくる…。
それよりも、今は重たい買った物が入った紙袋をどうにかしたい。
現段階で両手で抱き抱えるのが精一杯なのに、半分近く残ってる買えてないものをどうやって持てばいいかわからない。
私は路地裏のベンチに座りながら考える。
「うーん…」
買い物リストを改めて眺めてみるが、こんなにも必要なのだろうか?と疑問になる。
旅をしているからとはいえ、量的に一ヶ月以上ある。
それをサーニャはあんな軽装でどうやって運んでいるんだ?
「何かお困りかな?」
「…うわっ!」
色々と考えていると、私の顔を笑顔で眺めている髪が異様に長く、すらっとした女性に声をかけられた。
私は驚きのあまり声をあげてしまうと、女性はあははと笑いながら紙袋にに入っていた林檎を勝手に取り、かぶりついた。
女性の瞳は異様なまでに赤く、雰囲気的に人間な感じはしない。
「うん、美味しい」
「あの…それ…あれ…?」
私は買った物を勝手に取られてしまったので勇気を出して注意しようとするが、女性が指差した紙袋を見ると、さっき取られた林檎が紙袋の中に入っていた。
林檎を二個買った覚えはない。それに、リストにも一個としか書かれていないのでなんらかで増えたかしか思いつかない。
「あの…どうやったんですか…?」
「ん?こう」
気になった私は女性に聞いてみると、女性は簡単に林檎を増やしてみせた。
「あなた、魔法使い?」
「あ…はい…。まだ見習いですけど…」
「ふーん。そのリスト見せて」
「はい…。どうぞ…」
私は女性にリストを見せるとふむふむといった感じで眺め、少し嬉しそうにすると林檎を増やした方法と同じようにして私が買ってきた紙袋の隣にリストの品でパンパンの紙袋を出した。
「これでいいかな?」
「ありがとうございます…!ですけど…どうやって持って帰ればいいか…悩んでて…」
「ん?ならこうしちゃえばいい」
女性は私の悩みをさらっと聞くとまたも林檎の時のように私の隣に置いてある紙袋を全て消した。そして、再び出現させる。
「あの!それ…どうやったんですか!?」
「ん?消すって思って消しただけ。…て言ってもよく分からないよね。あなた、魔法学校は卒業してる?独学?」
「少し前に卒業しました…」
「じゃあ、復習だね!まずはこの林檎を消してみようか」
「はい…!」
私は女性にやり方を聞くが、女性からしたら息を吸う、吐くといった感覚で魔法を使っていたらしい。
だが、女性は紙袋の中の林檎で親切にどういう風にやったか教えてくれた。
女性の説明の仕方は過去に教えた事があるのだろうかと思うぐらい分かりやすい。
こんな事言うとサーニャに怒られそうだが、初めて会う人がこの人だったらと思ってしまうほどだ。
やり方は簡単だった。「頭の中で物を消す、出す」という魔法学校に通った生徒なら最初に習う基本的なものだった。
よく考えなくても、こうすればいいってすぐ思いつくようなものなのに、私はなぜか思いつけなかった。
いや、考えすぎてしまった。
「そんな落ち込む事無いよ、誰だって失敗はある。そこでやめなきゃいいんだよ」
「はい…!」
「じゃあ、私はここでっ…」
「あの…!名前を教えてくれませんか!…あと、なんでこんなにも親切に教えてくれたんですか…?」
「うーん…、前仲良かった弟子を思い出したからかな?今はその子どうしてるか分からないけど、元気だったらいいなぁー…」
女性は私の質問に答えると、仲良かった弟子の事を簡単に話し始める。
仲良かった弟子も私と同じ立場だったのだろうか?
「…ああ、私の名前?あなたは信用出来そうだし特別ね。私は「ロゼッタ」、よろしくね。けど、これは誰にも言っちゃダメだよ?私達の約束!」
「はい…!ありがとうございます…!あと…また…会う事って出来ますか…?」
私はロゼッタの名前を聞き、ロゼッタはその場を立ち去ろうとしている時に追加の質問をしてしまった。
だが、ロゼッタはにこりと笑い「分からないけど、また会えたらいいね」と優しく言い、路地裏に消えた。
そして、ロゼッタに教えてもらったやり方で二つの紙袋を消し、サーニャの待つホテルへと歩き始める。
(ロゼッタ…どこかで聞いた気がする…)
私はホテルへと歩きながらふと思った。
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