閑話 ミレイの日常1
今日もお仕事頑張らなくちゃ。昨日はドナートがスグルくんを連れてきたけど、あの顔、絶対お酒飲むお金がなくなった顔だわ。いつも見切り発車なんだから。
冒険者ギルドの受付に立ち、いつものように依頼処理などをこなしていた。しばらくして、冒険者がまばらになったところで、スグルくんがこっちに向かってきた。
「すみません、ここの近くで安くて美味しい屋台とかはありませんか?」
「あら、スグルくんじゃない。屋台ならギルドを出て右手の通りにいくつかあるわよ。大銅貨1枚で買えるのもあったはず」
「ありがとうございます。行ってみますね」
そういうと、スグルくんは冒険者ギルドを出ていった。
(昨日ランクEになったばかりだし、お金ないものね。でも屋台飯ぐらいなら買えるはずよね)
お昼ごはんを食べて、受付の仕事に戻った。しばらくすると冒険者ギルドの扉が開いて、大きな革袋を背負ったスグルくんが入ってきた。そのまま買い取りに向かっていった。
(さっき屋台に行くときには持ってなかったわよね。この短時間に集めてきたってこと?すごいわね、この子。あっ、こっちにやってきたわ)
「あの、ランクを上げるにはどうすればよいでしょうか?」
「あらスグルくん。もう次のランクを考えてるのね。ランクを上げるにはランクアップ試験を受ける必要があります。筆記と実技ですね。受験資格は依頼達成数と素材納品数で検討します。ちなみにランクEの試験なら受験料は銀貨1枚ね」
(ランクアップ試験の話を聞きに来るなんて、気が早い子ね。急ぎすぎて危ない目に合わないといいけど)
「お金がかかるんですね。ちなみにマジックバッグ??物がたくさん入るバッグってあるんですか?」
「さっき革袋いっぱいにしてたよね。マジックバッグはあるわよ。ただ、高価なものなので、ランクの高い人じゃないと買えないかな」
「じいさんの倉庫の中を今度探してみよっかな」
「あらあら、見つかるといいね」
(マジックバッグはドナートも持っていなかったはずよね。前に聞いた話では、マジックバッグは安いものでも金貨1枚以上するって言っていたものね。スグルくんのおじいさんはどんな人なのかしら?)
翌日、いつものように冒険者ギルドで受付の仕事をしていると、スグルくんがやってきた。
「すみません、ランクアップ試験受けれたりしますか?」
「あらスグルくん、この前冒険者登録したばかりよね?まだ早いんじゃない?」
「受験料が貯まりましたので、受けてみたいなと思いまして・・・」
「銀貨1枚って、すごいわね!この前登録したばかりじゃない。まずは依頼達成数と素材納品数を見てみるわね。ギルドカードをお渡しください」
(もう銀貨1枚貯めたの?早すぎないかしら。さてはおじいさんのお金を持ってきたのかな。ひとまずギルドカードを見てみようかしら)
受付にある魔道具にギルドカードを差し込んだ。目の前の画面に登録情報が出てきた。
『名前:スグル
年齢:13
職業:剣士
冒険者ランク:F
依頼達成数:通常:ランクF 0
常設依頼:ランクF 75
素材納品数:魔物ランクG 75』
(なにこれ、あれから素材を75体分も納品したってこと?ありえない早さだわ。ただの革袋でこの日数、この量は異常だわ。昨日マジックバッグの話をしていたし、もしかして見つけたのかしら。きっとそのときに素材もいっしょに見つけたのよ。んー、通常依頼が0件だからランクアップ試験も受けられないし、深くは聞かなくても大丈夫よね)
「あー、素材納品数はOKだけど、依頼達成数が足りてないわね。常設依頼以外の依頼を10件こなしたらまたおいでね。それにしても素材納品数がすごいわね」
そういってニコッと微笑み、ギルドカードをスグルに返した。
「わかりました、また来ます」
そういうと、スグルはその場から離れていった。
あとでドナートともお話しなくちゃ。
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