第15話 素材納品
お昼過ぎ、門のところに行くとドナートさんがいた。昨日の今日で会えるとはツイているな。
「こんにちは」
「おぉスグルか。どうした?」
「この前、立て替えてもらった大銅貨5枚を返しにきました」
「昨日の今日で早いな!将来有望だな。これからどこに行くんだ?」
「魔物の素材を集めようかと」
「そうか。ランクが上がるまでは森の奥には行くなよ」
ちょっとした気遣いが嬉しい。自分は独りじゃないって思える。大銅貨5枚をドナートさんに渡し、辺境の森に向かった。
周りには冒険者と思われる人たちがちらほらいた。剣を持っていたり、弓をもっていたり、数名ずつのグループのようだ。パーティを組んでいるのだろう。私もいつかパーティを組んでみたいな。
辺境の森に入り、スキル《索敵》を使用した。以前使用した《探索》はMP10消費して半径100mの範囲の状況を把握するのに対し、《索敵》はMP50消費して半径1kmの範囲の状況を把握できるスキルだ。クールタイムはどちらも1分。長時間の連続使用なら《探索》、短時間の状況把握なら《索敵》、今のところはこのように使い分けている。
《索敵》で確認したところ、周囲にはランクGの魔物が点在していて、それに合わせて冒険者もそれなりの数が森の中にいるようだ。
他の人の邪魔にならないよう人混みをさけ、ランクGの魔物をサクサク倒していった。いろんな種類の魔物を革袋に入れたので、買い取りの相場がわかるといいな。
30分ぐらい狩ったところで、革袋がいっぱいになった。よし帰るとしよう。辺境の森を抜け、門のところに行くとドナートさんがいた。
「スグルか、早かったな。さては獲物が全然取れなかったな」
「いや、それなりにとれましたよ」
「おぉ。こりゃあマジで将来有望だな」
革袋の膨らみを見て、ドナートさんも納得したようだ。ドナートさんとやり取りしたあと、ギルドの買い取りカウンターへと向かった。ギルドの中は閑散としていた。冒険者たちはまだ依頼で出払っているのだろう。買い取りカウンターには昨日のおっちゃんがいた。
「すみません、買い取りをお願いできますか?」
「おぉ、坊主。頑張ってるな。ここに素材とギルドカードを置きな」
革袋から素材を出し、台の上に置いた。
しばらくすると査定が終わった。ランクGの魔物はたいたい大銅貨1枚〜5枚ぐらいのようだ。合計で小銀貨2枚、大銅貨1枚になった。それなりに狩ることが出来れば屋台飯には困らなそうだ。
ただ、ランクが低い魔物だけだと、効率が悪い。受付カウンターへと移動して、ミレイさんに質問してみた。
「あの、ランクを上げるにはどうすればよいでしょうか?」
「あらスグルくん。もう次のランクを考えてるのね。ランクを上げるにはランクアップ試験を受ける必要があります。筆記と実技ですね。受験資格は依頼達成数と素材納品数で検討します。ちなみにランクEの試験なら受験料は銀貨1枚ね」
受験料がかかるのか。もうしばらくは素材納品だな。ただ、革袋だとすぐに一杯になり、あまり稼げないし困った。
「お金がかかるんですね。ちなみにマジックバッグ??物がたくさん入るバッグってあるんですか?」
「さっき革袋いっぱいにしてたよね。マジックバッグはあるわよ。ただ、高価なものなので、ランクの高い人じゃないと買えないかな」
マジックバッグは世の中に存在しているんだ。これなら使っても悪目立ちせずに大丈夫かも。効率もよくなるし。
「じいさんの倉庫の中を今度探してみよっかな」
「あらあら、見つかるといいね」
ミレイさんにお礼をいって、冒険者ギルドをあとにした。
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