第14話 周辺状況

資料室で本を読み、この世界についてわかったことがある。今いるのは「辺境の街フロンダ」だ。その隣、東側にある森は「辺境の森」と呼ばれている。私の小屋がある森だ。


森の北側には「ドナウト山脈」がある。鉱物がとれるらしい。


森の南側には海がある。森の終わりがそのまま海岸になっているらしい。


森の東側には何があるかわからない。最奥まで進んだ人がいないからだ。というのも、奥に進むにつれて魔物のランクが高くなり、なかなか倒せず進めないそうだ。


フロンダから北に向かって進むと、「山脈都市マトン」があるらしい。


フロンダから南に向かって進むと、「港町ハーバイン」があるらしい。


フロンダから西に向かって進むと、「内陸街ランダルグ」があるらしい。


・・・らしいというのは、本に書いてある内容でも、実際に行って見てみないとわからないからだ。冒険者ギルドにある資料なので間違いはないとは思うが、情報のインフラがどのくらい整っているかはわからない。あくまで、暫定的な情報に留めておこう。


他には魔物の図鑑という本があった。素材の剥ぎ取り方まで載っていて、勉強になる本だった。ちょっと後ろめたいが、スキル《本複製》を使用することにした。


ページ数×10のMPを消費することで、全く同じ本を作り出すスキルだ。ただし、クールタイムが1日かかるので、スキルレベルはまだ2だ。なかなか熟練度がたまらないが、頑張って使っていこう。本は貴重な情報源だ。


今日の読書はこのくらいにしておこうかな。ちなみに魔王の話はまだ出てきていない。どこにいるのだろう。


そろそろお腹が空いてきた。現在の所持金は大銅貨9枚、銅貨1枚。街の中で何か探してみようかな。


資料室を出て受付を見ると、ミレイさんがいた。


「すみません、この近くで安くて美味しい屋台とかはありませんか?」


「あら、スグルくんじゃない。屋台ならギルドを出て右手の通りにいくつかあるわよ。大銅貨1枚で買えるのもあったはず」


「ありがとうございます。行ってみますね」


お礼を言って、屋台に向かって歩いていくと、いい匂いがしてきた。串焼きやスープなどが売られているようだ。


「すみません、串焼き1つください」


「あいよ、大銅貨2枚だ」


お金を渡して串焼きを受け取り食べてみる。一口大の肉が4つ付いていて、塩味で美味しかった。もうひとつ何か食べてみよう。別の屋台に向かい、スープを頼んだ。


「大銅貨1枚と銅貨3枚です」


スープの中には細切れ野菜が入っていて、塩味でほんのり野菜の旨みも感じられた。異世界料理も意外といけるようだ。


さて、お金も返済分を残すのみとなった。いったん辺境の森に行って、常設依頼でも納品しようかな。門のところに行けばドナートさんにも会えるかも。

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