第13話 依頼票
朝日が眩しい。
昨日はあれから夕食を食べて眠った。今日は朝からラビットの生肉を売りに行こうと思う。革袋にラビットの生肉を詰めれるだけ詰め、《テレポート》を唱えた。
辺境の街フロンダへと到着。門兵にプレートを見せ、冒険者ギルドへと歩いていった。途中人とすれ違ったが、自分から話しかけることは難しい。なぜなら人見知りだからだ。こういうとき、自然と話せる性格の人は羨ましいなと思う。
ギルドの中に入り、買い取りカウンターへと向かった。昨日のおっちゃんはいないようだ。仕方ない、知らないおじさんだが、声をかけてみよう。
「すみません、買い取りをお願いしたいのですが・・・」
「朝から早いですね。ここに素材とギルドカードを置いてください」
ラビットの生肉が入った革袋を台の上に置いた。
「えーと、全部で8体分ですね。状態もいいですね。朝いちでとってきたのかな?全部で大銅貨8枚です」
おじさんから代金を受け取った。よし、これでドナートさんにお金を返せる。人から借りたものはちゃんと返さないとね。ただ、どこに行けば会えるのかわからないから定期的に門へ確認しに行こうかな。
さて、これから何をしよう。掲示板の依頼票でも見てみるか。どんな依頼があるのだろう。
掲示板は入り口から左手の壁にあった。入口側がFランクでカウンター側に行くに連れてランクが上がっているようだ。すでに他の冒険者に依頼票を取られたからか、掲示板にある依頼票はまばらな感じだった。そこに残っていた依頼票を読んで、ふと疑問が浮かんできた。
(ここにある素材の依頼票、アイテムボックスの中にすでにあるやつだ)
どういうことだろうか。今ある素材の依頼票でランクが1番高いのはBだ。例えば、その中のひとつにはギガントベアの素材と書かれている。
ギガントベアと言えば、お肉がすごくおいしかった。・・・間違えた。
ギガントベアと言えば、身長は2mから3mを超えないくらいの大きさで、4本腕で接近戦を好む熊の魔物だ。足は速く、敵を掴んでひねりながら千切ろうとしてくる。そのため距離を置いて魔法で対処するのが、楽に倒すためのコツだ。
私はすでにこの魔物を倒したことがある。鑑定ではランクCだったが、このレベルの魔物が、冒険者ギルドでのランクB相当ということだろうか。
森の中で見たことがある魔物のランクはGからSSSまでみたことあるが、冒険者ギルドのランクでは、ひとつ上のランクの依頼票となるのかな。
となると、魔物の鑑定ランクSSまで倒せる私は、冒険者ランクSSS相当の実力があるということになる。
・・・いやいや、そんなはずはない。自惚れてはいけない。危ない、あやうく勘違いするところだった。出る杭は打たれてしまう。
よし、常設依頼を依頼票を見てみよう。
『常設依頼 ランクF
報酬:時価
・ラビットの素材
・カミツキリスの素材
・薬草 10株単位
など』
『常設依頼 ランクE
報酬:時価
・ゴブリンの魔石
・コボルトの魔石
など』
『常設依頼 ランクD
報酬:時価
・オークの素材・魔石
・スネークの素材・魔石
など』
『常設依頼 ランクC
報酬:時価
・オーガの素材・魔石
・ハーピィの素材・魔石
など』
『常設依頼 ランクB
報酬:時価
・トロールの魔石
・ギガントベアの素材・魔石
など』
なるほど。どれも森で集められるものばかりだ。適当にランクが低いのを買い取ってもらえば、お金には困らないかな。
よし、この世界についてまだまだ知らないことが多いから、まずは資料室に行こう。受付横の通路を通り、最初の部屋に入った。
中には誰もいないようだ。壁沿いに本棚が並んでおり、真ん中にはテーブルがある。さて、いろいろ読んでみようかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます