第5話 スラッシュ

部屋の中は大体見終わったかな。窓から見える景色は、木一色。ここは森の中にある小屋のようだ。起きてから、かれこれ1時間以上は経過してしまった。


ここには水や食料がないので、外に出て何かしら確保しないとマズイ気がする。転生してから餓死というのは避けたい。


机に置いてあるナイフを手に取ってみる。腰に巻けるベルト付きだったので、そのまま腰に巻いてみた。日本にいた頃、自炊はしていたので、肉魚はある程度さばけるはずだが、そのためにはまず戦闘をしなければならない。争い事のない世界で生きてきた私にできるだろうか。


水は近くに川があればいいが、ないとしたら死活問題だ。スキルでも取っておいたほうがいいのではないか。ただ、スキルポイントはアイテムボックスで10消費したので、あと2しか残っていない。


(ステータスオープン)

(スキルポイント選択)


ーーーーーーーー

スキルポイント:2

獲得可能なスキル

・剣術

・体術

・火魔法

・水魔法

・風魔法

・土魔法

・生活魔法

ーーーーーーーー


(生活魔法)


ーーーーーーーー

生活魔法

・ウォーター:スキルポイント1

・ドライ:スキルポイント1

・プチファイア:スキルポイント1

ーーーーーーーー


生活に使える魔法ということだろう。ウォーターが飲水として使えるかどうか、悩ましいところだ。異世界転生小説では飲める場合と飲めない場合がある。今獲得して、飲めなかった場合は、限られたスキルポイントをこれに消費するのは危険だ。探索しても川がない場合に備えて、保留にしておこう。


他の魔法も気になるが、MPが多くないので、使用したらすぐに枯渇しそうな気がする。剣術とかなら、MPを使わずにいけるのかな?とりあえず見てみるか。


(剣術)


ーーーーーーーー

剣術

・スラッシュ:スキルポイント1

ーーーーーーーー


1種類だけか。どの道、これから戦闘しなくちゃいけないだろうから、試しに取ってみるか。


(剣術 スラッシュ 獲得)


『スキルポイント1消費して、剣術、スラッシュを獲得しました』


とりあえずスキルを確認してみよう。


(ステータスオープン)

(スキル 剣術 スラッシュ)


ーーーーーーーー

剣術 スラッシュ(ランクD)

消費MP:0

レベル1:熟練度0

クールタイム1分

ーーーーーーーー


よし!MP消費がないタイプだ。これで戦闘の際の必殺技として多少安心ができそうだ。残りのスキルポイントは1。生活魔法用に取っておいて、そろそろ外に出てみよう。


私はドアを開け、外に出た。目の前には横幅が1mぐらいの山道があった。その両脇は木々で覆われており、今までいた小屋は、森の中にぽつんと立っていた。小屋の周りをひと回りしてみるも、人が歩けそうな道は正面の山道のみだった。


いきなり突入するのは危険なので、まずはスキルの確認をしよう。腰ベルトに装備したナイフを右手に持ち、構えてみる。なんとなくこんな感じかなと思う構えをとり、心の中で念じてみた。


(スラッシュ)


・・・


何も起きなかった。これは、声に出すタイプかな。


「スラッシュ!」


体が勝手に動き出し、右手に持ったナイフを左から右に、横薙ぎの動作をした。その際、ナイフがうっすら輝き、動かしたあとを光が追うように余韻を残していた。


かっこいいな。戦闘の合間にこのスキルを使えるといいのだろうけど。さて、そろそろ山道を歩きながら食料と水を確保しに行くとするか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る