第3話 冒険のススメ

あの声の主は誰だったのだろう。名前だけでも聞いておけばよかったなと、今更ながら思う。


さて、現在、私がいるところはどこだろうか。そうベッドの上です。ただし・・・


「知らない天井だ」


・・・ついつい言いたくなってしまった。


まずは状況の把握をしようと思う。ベッドから起き上がり、周りを見渡すと、ここは4畳ぐらいの部屋だろう。周りにはベッドの他に、机と椅子と小さな本棚、出入り口のドアが1つ、窓が1つ。いわゆる普通の部屋のようだ。材質はどれも木だ。


そういえば、ステータスが見れるようになったはずだ。念じるだけでいいのかな?とりあえず試してみよう。


(ステータスオープン)


ーーーーーーーー

名前:スグル

年齢:12歳

種族:人間

性別:男


レベル1

HP:25/25

MP:4/4

力:12

生命力:12

知力:51

器用さ:35

素早さ:12

運:12

スキルポイント:12

経験値:0


装備

・普通の服(上)

・普通の服(下)

・普通の靴


スキル

・異世界言語

ーーーーーーーー


おぉ、でたでたステータス。目の前に半透明な1枚のボードが出てきた。大きさはA4サイズぐらいだ。そこには様々な項目が書いてあった。


名前はスグルでいいとして、レベル1ってマジですか。これは、下手したら即死してしまうんじゃないかな。スキルもないし。


1番の驚きは年齢が12歳。もともとは35歳だったのに、小学6年生にまで若返っている。だから、力とかが低いのかな。元の世界の記憶はあるから、知力は高め、器用さは35年の経験があるから・・・


いや、まてよ、もしかして年齢がそのまま数値になっているとか?知力は今までのいろんな知識があるからさらに高めってことか。器用さはこっちで体を使っていないから、元の世界の年齢相当の判断なのだろう。レベル1だから、補正なしで見やすくなっている感じかな。でも、推測の域を出ないから、これ以上考えてもしかたないか。とりあえず、部屋の中を見てまわろう。


ベッドから起き上がり、4畳ほどの狭い部屋を見てまわると、机の上にはノートとナイフが置いてある。ページをめくると、そこには日本語でこう書いてあった。


『冒険のススメ』


『このノートをしっかり読んで、いざ冒険の世界へ!』


これはゲームでいう説明書のようなものかな。ご丁寧にありがたいですな。いきなり戦いが始まって死亡という流れはなくなりそうだ。


『この世界で生きていく上で必要な知識がいくつかあります。順をおって説明します。』


まずは目次があるな。


『最重要事項』


『ステータスについて』


『通貨について』


『爵位について』


『スキルポイントについて』


『最後に』


気になる情報がいろいろある。ページ数は少ないようなので、とりあえず、全部読んでみよう。


まずは、『最重要事項』からだな。


『異世界人だということを悟られてはいけません』


『魔物を倒すと経験値、スキルポイントがもらえます』


『最終的に魔王を倒しましょう』


このページはこれで終わりのようだ。異世界転生小説でもよくある設定だな。異世界人だということを悟られてはならないとなると、なにかと気をつけなければいけない。異世界人だとバレると、国に囲われるからとかかな?内容が簡潔すぎな気もするが、次を読んでみよう。


『ステータスについて』


『鑑定スキルがないと見れません』


『鑑定スキルを取得してから個別に鑑定してみせください』


これまた簡潔な内容だ。鑑定スキルがない人は、ステータスが見れない。逆に言うと、鑑定スキルを持っていれば、相手のステータスが見れるということ。どうしたものか。隠蔽みたいなスキルがあることを期待しよう。


あれ、もしかしてステータス画面の閲覧権限よりも、鑑定スキルを要望したほうがよかったのではないだろうか・・・いったん忘れよう。さて、次だ。


『通貨について』


『小銅貨、銅貨、大銅貨、小銀貨、銀貨、大銀貨、金貨、白金貨、虹金貨の順に、それぞれ10枚で次の通貨に換算されます』


なるほど。ここの通貨はこういう感じなのか。異世界の物価がわからないのでなんとも言えないが、日本円の1円イコール小銅貨で認識しておくか。そうなると虹金貨は1億円だからかなりな大金だな。さて、次だ。


『爵位について』


『男爵、子爵、伯爵、侯爵、公爵、大公の順に、上の位となります』


異世界なので、貴族はやはりいるのか。定番ものなら、自己中心的な考えを持った身勝手な人たちなので、出来ればあまり関わり合いたくはないな。さて、次だ。


『スキルポイントについて』


『レベルが上がるとスキルポイントを獲得します』


『スキルポイントを消費して、スキルを獲得しましょう』



おぉ、スキルか。気になる。どれを取ろうか迷うんだろうなぁ。早く見てみたい。


『ちなみに鑑定スキルがない方はスキルポイントが見えません。そのため、感覚での習得になります』


ますます鑑定スキルが重要になってきたな。でもひとまずはステータス閲覧ができるからいいか。普通の人は何かしらの鍛錬をすると、それに関連するスキルを習得するということかな。


さて、ノートも大体読み終わったし、獲得できるスキルを見てみよう。あ、でもまだもう1ページあるみたいだ。次で最後のページかな。最後まで読もう。


『最後に、この世界は元の世界に比べて過酷な場所です。激励もかねて、スキルポイントを使ってアイテムボックスが取得できるようにしました。通常100ポイントのところを、初回のみ、サービスで10ポイントです。ぜひ獲得されてみてください。』


・・・


・・・


・・・


うおぉい!いちばん大事な情報がいちばん最後に載っているという罠。読み終わったあとにしたことは、もちろんスキルポイントを使ってからのアイテムボックスの獲得でした。

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