第2話 異世界転生

異世界転生。

夢の中の話とはいえ、憧れる。


「異世界へ転生したとして、私は何をするのですか?」


『最終的には魔王を倒してもらいます』


おっと、いきなりのラスボス登場である。ということは、定番の展開かな。


『ただし、レベル1からのスタートになります。異世界人ではなく、現地人として成し遂げてほしいためです。』


おっと、いきなりハードモード発言か?


『異世界転生小説をこよなく愛する早川傑ハヤカワスグル様ならば、必ず成し遂げられることでしょう』


『コンテニューしますか?』



・・・


・・・


・・・


「NOで」


・・・


・・・


・・・


『えっ!?』



・・・


・・・


・・・


ふぅ、あぶなかった。

あやうく連れ去られるところだった。

とりあえず、起きるとするか。


『ちょっ、ちょっと、待ってください!』


もう、夢の世界から早く開放されたい。起きたとしても、朝から仕事で憂うつなんだけどね。


『・・・どうすれば、異世界に転生してくれますか?』


おっ、これは何かしら要求できる展開かな。さて、どうしたものか。やはり定番ものがよいと思われる。


「では、異世界に転生する上で必要とするものがあります。ステータス画面の閲覧、アイテムボックスの使用、スキル習得制限なし、レベル上限なし、街中スタート、転移スキル、それから・・・」


『ちょっ、ちょっと、待ってください!いくらなんでも多すぎます!さすがに無理です』


おいおい、そちらから言っておきながらの無理です発言。会社員なら信用問題にかかわるというのに、夢の中ならOKということだろうか。まったく、困ったものだ。


『そんなに特典をつけたら異世界人だとバレてしまいます。』


・・そういえば、そんな前提条件があったような。夢の中だし、私も忘れっぽくなっていたんだな、きっと。


『付与可能なものかの判断も必要になりますので、優先順位をつけてもらえませんか?』


さて、どうしたものか。優先順位をつけるのは、会社員としても当たり前のことだし、ここは素直に従うとするか。


「では、優先順位の高いものから、ステータス画面の閲覧、アイテムボックスの使用、レベル上限なし、それから・・・」


『はい、わかりました。こちらで精査した結果、ステータス画面の閲覧権限を付与いたします。これにて、異世界転生承諾済みとして承りました。では、異世界にて、魔王討伐をよろしくお願いします』


「ちょっ、ちょっと、待ってくださ・・・」


返事を言い終わる前に、夢から覚めたように、意識がはっきりしてきた感覚に襲われた。


・・・いわゆる、言質を取られたってやつですか。ははは。。。


石橋を叩き忘れてしまいましたとさ。

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