498. 新たな畑の開墾
『うむ! 新たな畑の開墾というのは楽しいな!』
『既にある畑を耕すのとはまた違った楽しみがある!』
『む、岩だ。パルフェ、岩の除去を手伝ってくれ』
「グー!(喜んで!)」
徒歩で3日という新たな村の候補地にやってきた。
家屋を建てる土地は既に決まっているので、畑を作る場所も大体決まっている。
そこを高速でキブリンキ・サルタスたちが耕していっているのだ。
途中、大きな岩にぶつかることもあるけど、そこはパルフェにお願いしてどけてもらう。
力仕事が得意なパルフェには朝飯前だ。
要するに、キブリンキ・サルタスたちだけで開墾するよりもさらに早いペースで畑ができていっている。
うん、さすがだ。
「リリィ様、キブリンキ・サルタスというのはこのようなモンスターなのですか?」
この様子にはキリ様もリク様も、そして様子を見るために一緒についてきた村長も驚きを隠せないでいる。
まあ、そうだよね。
キブリンキ・サルタスの開墾速度を初めて見ると大体こういう反応になるから。
「パルフェたちがいるのでさらに早くなっていますが、おおよそこんな感じです。これでも数が少ないので遅い方ですよ」
「これで遅いのか……。八天座でもパルフェを使った農業をしているが、段違いに早いぞ」
「畑作りが生きがいなモンスターですからね。防衛戦以外ではそこまで強くないらしいですけど、防衛戦になると事前に蜘蛛の巣を張り巡らせた陣地を形成して戦うのでなかなか強いです。あと、読心が使えるため1対1ではやたらと強いです」
「そこまで優秀なモンスターだったのか。本当に借り受けてもいいのか?」
「キブリンキ・サルタスたちがやる気なようですし、問題ないでしょう。パルフェと組み合わせた農法を編み出してくれたら教えてください。私の方でも私が連れて行くパルフェで試してみますから」
「あ、ああ。しかし、本当にここまで優秀なモンスターを借り受けてもよいのだろうか……」
リク様は悩んでいるけど、キブリンキ・サルタスたちがやる気になっちゃってるから、私でももう止められないんだよね。
絶対この地方の特産品を最大効率で育てる方法を編み出す。
むしろ、野山に自生している山菜を栽培し始めて新しい名物を作り出すかもしれない。
マクファーレン公国でも結構やってきたからなぁ。
「リリィ殿、キブリンキ・サルタスの得意なことと不得意なことをもう一度教えてもらえるか?」
「そうですね……。得意なことは鎌のようになっている前脚を使って畑を耕したり物を切ったりすることです。切れ味が鋭いので枝打ちや木の伐採くらいはできます。苦手な分野は、力仕事でしょうか。モンスターですから一般的なヒト族よりも力は強いですけど、見た目通り小柄でそんなに強くはありません。木を切り倒すことはできても、切り倒した木を運ぶことはできないみたいです」
「なるほど。力仕事はパルフェの得意分野だ。逆にパルフェは細かい作業を得意としない。この2種族が手を組めば、幅広い範囲で物事ができそうだな」
「そうですね。よほど無理なお願いでなければ聞いてくれると思います」
「わかった。無理は言わない。できる範囲で力を借りよう」
リク様なら無理なお願いをする心配はないかな。
それにしても、キブリンキ・サルタスとパルフェの組み合わせって強力だなぁ。
人じゃないとできない細かな作業以外は全部こなせるんじゃないだろうか?
うん、あまり考えないようにしよう。
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