495. 水不足の村へ
八座様との会談で決めることはそれくらいだ。
ほかにも作物などの輸出入について議題となったが、そちらはプリシラさんの話なので私は口を挟まずにいた。
輸出入に使う高速魔道船の船主を募集しているらしいけど、私がそれになる理由もないからね。
あ、でも、八天座の美味しいお魚を食べられるなら考えてもいいかも。
……帰ったらアリゼさんと相談だな。
翌日は一日休みを取って、さらにその翌日、水が出なくなったという村に向けて出発することになった。
プリシラさんはこちらで現地の組合と話し合いの場を持っているらしいので、ここでお別れだ。
案内役はキリ様と、なんとリク様まできてくれることになった。
キブリンキ・サルタスたちが安全なモンスターであることを示すのには自分が行った方が早い、とのことだ。
あと、私が助けたパルフェのうち数頭が一緒に来てくれるからかもしれない。
力仕事が必要になったときに手伝ってくれるそうだ。
本当に働き者でいい子である。
目的地は八天座の島本島とは別の島らしいので船でそちらに渡ることになった。
やっぱり島国だけあって船旅が多いね。
「リリィ様。少しよろしいでしょうか?」
「はい。なんでしょう、キリ様」
「申し訳ありません。八天座の問題をいろいろと押しつけてしまい」
「いえ。ここまでは来る前から決まっていたことですし。ところで、これから行く島って地震が多いんですか?」
「そうですね……あまりないと聞いております。そのため、水が涸れたときの地震はなにかの祟りではないかと噂されていた程です」
火山が近くにあるとかじゃないのか。
じゃあ、なんでそんな地震が起きたんだろう?
前世では大陸間プレートがどうのこうのって話もあった気がするけど……。
「本来ならば、その村を廃村にして別の場所に開拓地を用意してやれればいいのだが、そう簡単な話でもなくてな」
「あ、リク様」
船の中からリク様が出てきた。
いままでモンスターたちの様子を見ていたらしい。
「俺は迷信など信じないが、大きな地震があった場所には新しい災害が起こりやすいという話は聞いたことがある。今回の水涸れもその一種だろう。八座としては、その村がまるごと移住できるような環境を整えるべきだと結論づけた」
「ああ、それで、私のテイムした子以外のパルフェも連れてきているんですね」
「力仕事は人がやるよりパルフェに任せた方が効率的だし、パルフェも喜ぶ。土地を耕すことはリリィ殿のキブリンキ・サルタスたちをお借りしたいが構わないか?」
「はい。元々お貸しするつもりで連れてきたんですから、分配に困らない範囲でしたら使ってください」
「わかった。報酬は野菜でいいのだな?」
「そうですね。いろいろな野菜を出せば喜びます。あと、野菜メインの料理も喜びますよ」
「なるほど。世話係に伝えておこう」
キブリンキ・サルタスの最初の仕事は新しい土地の開拓か。
……普段とやることがあまり変わらないな?
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