490. 八座との会議 商人の教育について
昨日はパルフェの提案で慌ててしまったが、それでも翌日は八座の皆さんと会議である。
私は改めて正装に身を包み、八座神の大神殿へ向かう。
うまく今日を乗り切らないと。
八座神の大神殿に着いたら、少し休憩して会議の場へ案内された。
そこで八座の皆さんと合流し、会議室に入る。
会議を始めようとした冒頭、まず一言お詫びがあるということでリク様から発言があった。
「リリィ殿、申し訳ない。まさかパルフェたちが外に連れ出してほしいなどと考えているとは想像してもいなかった」
「いえ、気にしないでください。ところで、連れ出しても大丈夫なんですか?」
「パルフェたちへの意思確認は済ませてある。あとはこの場で議題として確認すれば問題ない。先に決めるべきことを決め、後ほど話をしよう」
「わかりました。そのときはよろしくお願いいたします」
あれは私からいわせてもらっても想定外だからね。
リク様にだってわからないだろう。
ともかく、その前に決めるべきことを決めないと。
最初の議題は商人の教育についてのあれこれである。
「最初に、光の座である私から。ヴァードモイ商業ギルドより申し入れのあった商人の教育係ですが、八天座の島本島で受け入れることが決定いたしました」
「八天座の島本島ですか? 大港島など外部への玄関口がある島ではなく?」
プリシラさんの疑問ももっともだ。
外部との取引について教育をするなら外部に繋がる港でするのが一番効率がいい。
いくら八天座の島本島が大きくても指導漏れが出てしまうかもしれない。
そこは大丈夫なのだろうか?
「ほかの座と共に商人組合と話し合いの場を持ったのですが、やはり善意で教える相手であっても外から来た商人はすぐに信用できないようです。代わりに、八天座の島で各島に派遣する教育係を育てていただき、彼らをすべての島に配置します。その方が、ヴァードモイ商業ギルドとしても負担が少なくて済むでしょう」
「それはそうですが、本当に大丈夫でしょうか?」
「一度商人組合を信用してみるしかないですね。商人組合としても私たちのお墨付きがあるとはいえ外部の人間を直接商人に教える立場に置きたくないのでしょう」
なるほど、正しくないことや余計なことを吹き込まれないようにするためか。
でも、落とし所としてはここくらいなのかもしれない。
プリシラさんも、追加派遣の人材をすぐには手配できないと言っているし、ここはこの提案に乗るのが一番かな。
よく考えれば、八天座の島の商人全員に教育すべき内容であって圧倒的に人数が足りないものね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます