482. 八天座の街に到着

 野生のパルフェを仲間にするというアクシデントはあったけど、私たちは無事に八天座の街までたどり着いた。

 ただ、本来手を出してはいけないはずの野生のパルフェを連れてきてしまったことでちょっと揉めている。

 事情はコウロさんが説明してくれているけど、キリ様たちが呼ばれてしまった。

 なんだか申し訳ないな。


「リリィ様、お待たせいたしました」


 八天座の街の門で待っていると、護衛の人たちに守られたキリ様とビャク様、それからもうひとり、男の人が出てきた。

 真っ黒なローブに身を包んだこの人は誰だろう?


「お騒がせしてしまい申し訳ありません。それで、そちらの方は?」


「ああ、俺か。名乗り遅れたな。俺は闇の座のリク。ダークエルフだ。担当はモンスター討伐やテイムも含めモンスター被害調査や討伐隊の最終指揮権を持つ。よろしくな、リリィ殿」


「はい。それで、今回の件は……」


「コウロからの話は聞いたし、サンプルとして提出された草も保管されていた毒草の標本と一致した。パルフェの生息地に毒草が紛れ込んだのは間違いないだろう」


「それで、毒草の駆除はしてもらえるんでしょうか?」


「山野の管理はまた別の座の担当でな。俺は対象地域のパルフェをすべて移住させるために行動することとなった。毒草を除去するにしても、一部分だけではなく草原全体となれば、一度すべての草を根絶やしにする必要があるからな」


 やっぱりそこまでしないといけないのか。

 リク様は自身もモンスターテイマーなので、私が連れて来た以外にもパルフェたちが残っていたら、パルフェたちをテイムしてこの街まで避難させるつもりらしい。

 パルフェたちは温厚で人を襲うことなど滅多にないが、念のためと人里に連れてくるときの決まりごとなのだそうだ。

 ルールってやっぱり大切だよね。


「すまないが、そういうわけで歓迎会には遅れての参加になるかもしれない。国として保護しているモンスターの一大事だ、許してもらいたい」


「私は構いません。それよりも、この子たちの仲間がいたら避難させてあげてくださいね」


「当然だ。ところで、彼らからはほかの群れがいないか聞き出せないか?」


 あ、その手があったか。


 聞いてみると、私についてきたのはいくつかの群れが固まった集団らしい。

 ほかに群れがいるとすれば、草原の奥にある普段は交流を持たない地域だそうだ。

 リク様にはそれだけでも十分な情報だったようで、いくつかの群れがそちらに生息していると救助へ向かって行った。


 決断力と行動力にあふれた人だなぁ。

 八座の人たちってみんなこうなんだろうか?

 ちょっとすごいかも。

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