475. 大港の街をぶらぶら
大港の街に繰り出したんだけど、やっぱり魚に関するものを売る店が多い。
生魚だけではなく、乾物や漬けなど様々だ。
興味を引かれるけど、朝食を食べたばかりだし魚はあとかな。
まずは服屋を見てみよう。
「いらっしゃうます。なんぞ、
「こんにちは。商品を見せてもらってもいいですか?」
「よかば。ほすいものがあたら買っていっとくで」
うん、本当に訛りがすごい。
聞き取れないほどじゃないし、古風な言葉も入り交じっているけど大丈夫だ。
まだ平気かな。
さて、商品の方なんだけど、やっぱり体に巻き付けるタイプの服がメインのようだ。
色もあまり着色せず、生成りの色が多い。
どうやら日差しが強い地域があるらしく、濃い色を付けると布が熱くなったり色あせたりするそうだ。
それを避けるために生成りの布が主流のようである。
でも、この服は珍しいな。
どうやって着るんだろう?
「すみません。この服ってどう着るんですか?」
「その服ば片方に出ている紐を左肩にむずんで、体ば2回巻き付けてもう片方の端に出てる紐だ右肩に結ぶが」
なるほど、2回巻くのか。
それなら、体のラインもある程度隠せるし、きわどいところが目立つこともなさそう。
よく考えられているね。
サンプルとして何着かサイズが違うものを購入し、次の店へと移動する。
次のお店は雑貨店だ。
美しい模様が彫られたランプやコップが並べられてあり、火をつけたり水を注いだりすると、光が反射してきれいな影を浮かび上がらせる。
アンティーク調で部屋の飾りにいいかもしれない。
これは個人用とアミラ用、コウ様とベルンちゃん用に買っておこう。
そのほかにも八天座の島各地の工芸品を並べている店など、交易港らしいお店が並んでいた。
見てるだけで楽しくなっちゃうね。
「リリィさん、そろそろお昼の時間ですよ」
「え、もうですか?」
「大港の昼は早いんですよ。宿でしたら一般的な時間に食べられますが、食堂は早い時間に店を開け、昼を少し過ぎる頃には店を閉めます。漁に出て帰ってきた漁師たちの生活スタイルに合わせ続けてきた結果ですな」
もちろん、外から来た商人向けの食堂などもあるらしい。
でも、私が目的としているのは外の人たち向けではなく、美味しいお魚を八天座の島独特の調理法で出してくれる食堂なのだ。
そうなると、漁師向けの食堂がいいわけで、そういった食堂に入るにはそちらの時間に会わせるべきである。
よし、街をぶらぶらするのはこれくらいにして食堂に行ってみよう。
どんなお魚が出てくるか、楽しみ!
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