474. 大港の街に行く準備
宿で一晩泊まった翌日、今日は休養日なので特にやることがない。
私たちの護衛として来てくれている八天座の島の人に聞いてみたところ、案内役付きなら街を見て回ってもよいということなので街に繰り出すことにした。
一緒に行くのはタラトとプラムさんや『山猫の爪』などの護衛、アリゼさん、アミラ、それからアミラの護衛のキブリンキ・サルタスである。
宿でしばらく案内役の人の到着を待っていると、コウロさんがやってきた。
どうやらコウロさんが案内役らしい。
「おはようございます、コウロさん。今日はよろしくお願いします」
「こちらこそ。大港ではマクファーレン公国の言葉も使えますので、気軽にお過ごしください」
「え、そうなんですか?」
「まあ、訛りはありますがね。大港は外部との連絡口でもあるので、外国の言葉も親から習うのですよ」
なるほど、そういうことか。
でも、それなら外国で商人に騙されることもないだろうと思ったけど、事情が違うらしい。
外国で騙されているのは大港や外港の商人以外の八天座の島の商人だそうだ。
外とのつながりが深いこのふたつの島の商人たちは、外との取引にも慣れているみたいである。
ここの商人たちが八天座の島から外に行く商人に注意するよう声をかけているらしいんだけど、あまり効果があがっていないみたいなんだよね。
なんとも大変な話である。
さて、昨日はゆっくり探索もできなかったので大港の街を歩いてみるけど、まず服装からして違う。
マクファーレン公国などは布で袋を縫う形作り服にしているけど、この国の服は布を巻き付けるタイプの服装だ。
感覚的には着物に近いんだけど、なんだか少し雰囲気が違う。
布を巻き付けるタイプなんだけど、羽織って合わせる着物とは違い、本当に布を巻き付けている感じだ。
これはこれで面白そうな服装である。
「コウロさん、大港の特産品ってなにがあるんですか?」
「大港のですか? あまり聞いたことがありませんね。外国と面した大きな港を保有している玄関口、という側面が強い街ですので、あまり特産品などは聞いたことがございません」
「ふむ。美味しいものとかってなんでしょう?」
「そちらは、やはり海産物になるでしょうな。大港島自体が大港の街を除くと、源島への玄関口以外あまり街も村もなく、農地も少ない島です。大型船が出入りできるので、遠洋漁業ができるような船を保有し、近海では捕れない魚などを持ち帰っていると聞いたことがあります」
メインは魚介類か。
それも遠洋のものとなると、カタスティから取り寄せできていないような魚も食べられるかも。
ちょっと期待しちゃおうかな。
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