464. プリシラさんに来てもらって

 話は大体わかった。

 嘘は言っていないようなので、これが本音なんだろう。

 そして、最初に手を付けなければいけないのは商人の意識改革だ。

 まずは商業ギルドから話を聞くべきだろう。


 ひとまず会談を中断してもらい、私は商業ギルドへ向かう。

 アリゼさんに事情を話して一緒に来てもらうためだ。

 商業ギルドに到着してアリゼさんにある程度の説明をすると、アリゼさんはギルドマスターのプリシラさんを呼びに行った。

 まあ、そうなるよね。

 そんな気はしてた。


「リリィさん。さすがに八天座の八座を相手にするのは、個人担当といえど一ギルド職員では失礼よ」


「ですよね。プリシラさんも来ていただけますか?」


「わかってるわ。八座が来ているのは知っているし、あなたとコンタクトを取っているのも知っていたけど、まさか教育を求めてきていたとはね」


 会談内容までは知るはずもないか。

 私とプリシラさん、アリゼさんは馬車で会談会場へと戻る。

 さて、ここからが本番だ。


「はじめまして、水の八座様。ヴァードモイ商業でギルドマスターを務めているプリシラと申します」


「同じくリリィ様の個人担当を任されております、アリゼです。本日はよろしくお願いします」


「まあ、商業ギルドの。本日はよろしくお願いいたします」


 商業ギルドのふたりが加わったことで会談は再開し、八天座の島の状況から説明をやり直した。

 それを聞いたふたりは、少々俯いたまま考え込み、やがて顔を上げるとプリシラさん口を開く。


「八天座の島の状況は理解しました。ヴァードモイでは、八天座の島と取引がある商人がいるのかどうかわからないためなんともいえませんが、調査はしてみましょう」


「よろしくお願いいたします。それで、教育の件は……」


「そちらはリリィさんの管轄ではなく、八座の管理の下で行うべきです。本来、教育というのは国の根幹を揺るがすこともある重要な事項。外部の商人が国全体の学校を取り仕切るべきではありません」


「そうですか……。いえ、いままでの話を聞いてそうすべきだとは勘付いていました」


「その上でヴァードモイ商業ギルドから支援を行います。外部商人とのやりとりを行うときの注意事項や、言語などを商人に学ばせるための講師を数名派遣いたします。八天座の島側で受け入れ体制が整い次第、送れるように手配いたしますのでよろしくお願いいたします」


 やっぱりこういうときのプリシラさんって頼りになるなぁ。

 これで学校問題は解決かな?

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