462. サザビー公王様とも相談

 プラムさんがサザビー公王様と連絡を取るように手配したら、翌日にはサザビー公王様が転移でやってきた。

 相変わらずフットワークが軽い。

 キリ様はこの場にいないけど、ダーシェ公国としてどう動くかについて軽く打ち合わせだ。


「ふむ。水の座がやってきて学びの場を増やしたいと言ってきたか」


「はい。父上はなにか聞いておらぬかの?」


「八天座の島については私も詳しくない。あそこはあまり他国との取引も活発ではなく、なぜエルフの座である水の座が学びの場を設けようなどと言い出してきたのかさっぱりだ」


 うん?

 エルフの座ってどういう意味だろう?

 話の腰を折るけど、そこについて聞いてみると、八座にはそれぞれ種族ごとの割り振りがあるそうだ。

 その中でエルフは水の座を任されるらしい。

 ほかの座はほかの種族が務めるとのこと。

 なんというか、本当に特定の種族に偏らない政策をとっているね。


「八天座の島というのは、その名の通り八座神の治める島という意味だ。いくつかの島がひとつの国として機能し、国の最高権威が八座となる」


「じゃあ、キリ様って公爵みたいな方だったんですか?」


「八座は世襲しないので、正確には大臣といったところだろう。しかし、水の座が教育を受け持つなどという話も聞いたことがない。元より謎の多い国だが、今回の話はそれに輪をかけて謎だ」


「父上でもそう考えるか。では、留学生の話も断るのか?」


「いや、それはまた別の話だ。八天座の島にその意思があるのであれば、留学生を受け入れダーシェ公国で学ばせるのもいいだろう。もちろん、七大公爵家で議論した上で判断だがな」


 うーむ、やっぱりことはそう簡単に運ばないか。

 でも、そうなると、やっぱりキリ様が急に来訪して学校を欲しがった理由が気になる。

 外の世界の情報がほしいならもっと別の手段があるだろうし、あくまで子供たちの目を外の世界に向けてほしいみたいだから、情報収集というわけでもなさそうなんだよね。


 本当にわけがわからないな。

 もっとしっかり話を聞けばなにかわかるんだろうか?

 私、政治とか苦手だからなぁ。

 サザビー公王様の手腕に任せよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る