454. レジスタンスの新リーダーとお話
「さて、先ほどは本当にお見苦しいものを見せてしまいました。申し訳ありません」
「いえ。でも、本当にグラフさんがリーダーだと思って話をしていいんですか?」
「ええ、もちろん。ほかの地方指揮官からの許可も取ってあります」
なるほど、あのバリアスって人を殺すのは既定路線だったわけか。
確かに、あの人がいつまでもレジスタンスのリーダーだとお先真っ暗だもんね。
いい判断である。
「それでは、改めまして。私たち、といいますか、ヴァードモイ侯爵様からの要求は主に3つ。先ほども述べたとおり、第三王子影響圏下から支配権を広げないようにすること、既に他国となった旧国家群と統一交渉をせず独立国として認めること、荒れた北西部地域の復興に努めること、です」
「それらはすべて飲みましょう。その上で、私たちも独立国家として認めていただきたい」
「わかりました。その旨、ヴァードモイ侯爵様と北部地域を統治することになったプラファード公爵様にお伝えします」
「よろしくお願いいたします。それで、国土の復興についてですが、人手を貸していただくことは可能でしょうか? 私たちの地方も第三王子たちの起こしていた内乱で多数の働き手を失い、畑を維持することが困難となっております」
「それは……難しいかもしれません。同様のことをプラファード公爵様がヴァードモイ侯爵様にお願いしていましたが、お断りしていました」
「やはり、人手不足の解消は急務ですか。そちらは私たちの方でなんとか考えてみます」
うーん、グラフさんとの間だと話がスムーズにいっていい。
人手不足は北部でも同じだからなんとかしてほしいよね。
私のキブリンキ・サルタスを貸し出すのも違うと思うし。
「しかし、その若さで代表として派遣されるのは素晴らしいですね。失礼ですが、エルフなので見た目より何倍もお歳を召されているのですか?」
「いえ、私は見た目通りの年齢です。私のテイムモンスターが優秀なので、いつも便利に使われているだけですよ。主に、情報収集などに」
「なるほど。ヴァードモイ侯爵様の部下でしょうか? それとも、プラファード公爵様の部下で?」
「ヴァードモイ侯爵様の部下ですね。今回はコリニアス王弟に喧嘩を売られたので、その落とし前を付けに来たつもりが、ここまで来ることになりました」
「ふむ。北部の混乱はもう収まっていますか」
「20日くらい前ですが収まっています。コリニアスはまだ牢に囚われたままですが、この後処刑されることになっていますね」
「わかりました。私たちもこのような状況です。おもてなしをしてあげたいが、その余裕はない。プラファード公爵様とヴァードモイ侯爵様に手紙をしたためますので、それを届けていただけますか?」
「わかりました。その程度でしたら、喜んで」
「よろしくお願いいたします」
グラフさんとの会談は友好的に終わった。
この後、第三王子と第四王子の2名を引き渡し、代わりにヴァードモイ侯爵様とプラファード公爵様宛の手紙を受け取り、プラファードへと向かって空に飛び立つこととなる。
グラフさんが悪い人じゃなければいいんだけど。
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