450. レジスタンス
とりあえず、第三王子と第四王子は本物のようなので、タラトの糸を使い拘束させてもらった。
あとは、レジスタンスにこいつらを引き渡してお話は終了である。
「ところで、レジスタンスの本拠地ってどこにあるんですかね?」
「それは、儂にもわからぬな。とりあえず、こやつらがいたという都市を目指すか」
「そうしましょうか」
翌朝、再び空へと舞い上がり、プラファード公爵から教えてもらった第三王子と第四王子の根城となっていたはずの都市を目指す。
本来は小ぶりとはいえ山をひとつ越えなくちゃいけないんだけど、それなりに頑張ったようだ。
それで、その都市が見えてきた……というか、その都市から立ち上る黒煙が見えてきた。
これはかなりまずい状況なのかな?
「うーん。どうしましょう、プラムさん。あの中に降りていきますか?」
「護衛としてはあまり勧められぬな。街門の外にて要求を告げよう」
「はい。……それにしても、レジスタンスってこんなことまでするんだ」
「今回のレジスタンスについて儂は知らぬ。だが、レジスタンスというのは、弾圧されてきた市民や農民などがなるもの。悠々と暮らしてきた一般市民は制裁の対象なのかもしれぬな」
なんだかそれってあまり気持ちのいいものじゃないな。
でも、こいつらに第三王子と第四王子を渡さないことには、この革命は終わらない。
殺されることは確定しているんだろうけど、それもいままで民をないがしろにしてきた為政者の罰だ。
それでも、このレジスタンスはなぁ。
「リリィ、なにを考え込んでおる。降りるぞ」
「あ、はい」
タラトたちに高度を下げてもらい、街の前に降り立つ。
空からいきなりやってきた一団に対し、壁の上にいた兵士のような人たちは武器を構えるべきか悩んでいた。
この辺りも兵士になりきれていないんだな。
「聞け! レジスタンスの者ども! 我々はヴァードモイからやってきた! 本来は状況を偵察するのみだったが、ここに来る途中、第三王子と第四王子を捕まえたためここまで運んで来ることとした! 責任者を出してもらいたい!」
プラムさんの声に街壁上の人間たちが慌てふためく。
しばらく待たされて、ようやく少し偉そうな人が街壁上にやってきた。
「第三王子と第四王子と言ったな! その男たちは既に処刑済みだ! 一体なにを考えている!」
「ほう。その者たちは影武者ではないのか!?」
「影武者、だと!?」
「どうせ、よく調べないまま処刑したのであろう! こちらで調べた限り、こちらで捕らえている男たちが本物であることに間違いはないぞ!」
「くっ……。ならば、その男どもの身柄を即刻引き渡せ! さもなくば、貴様らもレジスタンスに楯突く不穏分子として始末する!」
交渉にならないなぁ。
あまりこういうことに慣れてない人なんだろうか。
どっちにしても、こちらの方が強いってことはわからせた方がいいよね。
「タラト、やっちゃって」
『うん。どの程度?』
「あの男以外、全部凍って街よりも高い氷の柱ができあがる程度」
『それくらいでいいんだ。わかった、すぐにやるね』
タラトとの会話を終えた瞬間、街壁一面が凍りついた。
あの男だけを避けるようにして氷の壁が天高くそびえ立っている。
ちなみに、あの男の後ろにも氷の壁があるらしく、逃げ場はない。
あと、一緒にいたレジスタンスの兵士らしき人たちは壁と一緒に凍っている。
「ひっ!? な、なんだ!?」
「これが儂らの戦力じゃ。その気になれば街ごと凍らせ、砕くこともできる。力で脅せばなんでもできると考えておるようじゃが、力を使うことしか知らぬようではより大きな力に砕かれるだけじゃぞ?」
より大きな力か。
タラトより大きな力を持つ存在って現れるんだろうか?
まあ、知性がある相手なら交渉が先だけどね。
タラトクラスの戦力同士が戦うなんて、周囲が更地になっちゃうもの。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます