449. 北西部の地へ
準備が整い次第、私たちはタラトとキブリンキ・サルタスたちによって空を舞い、旧国家北西部を領地としていた第三王子派閥の支配地域へと向かう。
地上からは見えない高度に上がったらぐんぐん加速し、日が沈まぬうちに目標の地域まで着いた。
着いたのだが……荒れてるなぁ。
「プラムさん、確か北西部って穀倉地帯が広がっているんでしたよね?」
「そうじゃの。いま時期であれば、刈り取りも終わっているはずなんじゃが、見事に踏み荒らされた畑しかないのう」
眼下に広がっているのは、明らかに耕作を放棄したとしか思えない畑だ。
しかも、その上にはたくさんの足跡がついている。
ここもなにかの戦場になったんだろうか?
でも、ここって第三王子派閥の地域内でも王弟派閥地域から外れているはずなんだけど?
「リリィ、いまその畑を調べている余裕はないぞ。まずは陥落寸前という第三王子と第四王子たちが逃げこんだ街を目指す」
「わかってます。でも、気になるなぁ」
私たちはその畑を後にして、ひとまずその日の宿営地となる森の中へと降り立つ。
そこにタラトやキブリンキ・サルタスたちで蜘蛛糸の結界を張ってもらい過ごすわけだ。
あと、キブリンキ・サルタスの何匹かとプラムさんの配下何人かは結界の外に出て情報収集をしにいった。
ここは近くに街があるわけではないけど、なにか話が聞ければ幸いということだろう。
「それじゃあ、このスピードで空を飛んでいってあと二日なんですね?」
「うむ。その予定じゃ。地図ももらってきておるし、間違いはなかろう」
二日か、結構時間がかかるな。
短縮できないかタラトに聞いてみたんだけど、『僕は速くできるけど、キブリンキ・サルタスたちが追いつけないかもしれないから無茶』と言われた。
なるほど、ここでも地力の差が。
無理なら無理で仕方がないね。
翌日も目的地へと日が暮れるまで移動し、宿営地を決めて休む。
そして何人かが探索に出て私やプラムさん、タラトなどは留守番である。
いざという時にいないと困る面子だからね。
今日もなにもないだろうと考え、のんびりと構えていると帰ってきたプラムさんの部下から報告があった。
怪しい男たちを拘束してきたので、どうするべきかと?
怪しい男たちって誰だろう?
「あの、怪しい男たち、って誰ですか?」
「なっ!? お前は、確かリリィ!? なぜこのようなところに!?」
「へ?」
『見つけたときいろいろと質問させてもらったのだが、どうやら旧国家の第三王子と第四王子らしい。落ち延びてここまで来ていたようだな』
うーん、それは面倒ごとを拾った。
これはレジスタンスとの交渉材料かな……。
悪いけど、助命してあげる理由はないし。
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