448. 第三王子派閥、陥落へ
次に連絡があったのは15日後だった。
そのときの連絡では、レジスタンス側が多数の都市を制圧、第三王子や第四王子、その支援者である公爵たちが逃げこんだ街も包囲してあるということらしい。
思った以上に勢いのあるレジスタンス組織になっていたようだ。
「さて、これは困ったな。第三王子や第四王子たちが処刑されるのは、正直に言って好ましい。だが、レジスタンス組織が調子づいてほかの国も攻め始めれば、現状よりも厄介になる。なにか楔を打たなくては」
楔、かぁ。
一番手っ取り早いのは、私が出ていって抑えることなんだろうけど、許してもらえるかなぁ?
「ん? リリィが行くのか? 儂は止めぬぞ?」
「あれ、いいんですか、プラムさん」
「楔としては最適じゃろう。儂らも護衛として共に向かうし、将来的な脅威を排除すると考えればこの場で押さえつける方が早かろう」
「……って、プラムさんは言っていますけど、ヴァードモイ侯爵様は大丈夫ですか?」
「まあ、問題なかろう。一番素早く行動できて、一番派手かつ最大の戦力であるのは間違いない。今回の件であまり隠し立てするよりも、大々的に広めてしまった方が早いという実例もできてしまった。よろしく頼むぞ」
ヴァードモイ侯爵様からも許可が出たし、断る理由もないよね。
そうと決まれば出発準備、なんだけど、さすがに陸路をルミテスターティアラで走るのは遅すぎる。
さすがに距離があるんだよねぇ。
そうなると移動手段はタラトとキブリンキ・サルタスたちによる飛行だ。
こっちならおそらく数日で目的地までたどり着けるはず。
最前線となっている場所までの地図も手に入っているし、問題はあまりなさそうだ。
後は人選かな。
「ええと、私とプラムさんは当然行くとして、ほかの皆さんはどうしますか?」
「私たち『山猫の爪』は辞退します。状況によっては足手まといになりかねませんからね」
「よい判断じゃ。お主らは対モンスター戦に特化しておる。対人戦、それも軍団戦はあまり得意ではなかろう。リリィ、儂のところから護衛を出すぞ」
「わかりました。出発は早い方がいいですよね?」
「うむ。明日1日で出発準備を終えさせる。明後日には出発じゃ」
「はい、わかりました。私もそのつもりで準備しておきます」
やっぱり第三王子派閥の方にも顔を出すことになったか。
ある程度は覚悟していたけど、本当にそうなるとはねぇ。
あっちは深入りしないようにしておこう。
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