431. 第三王子派閥の切り崩しは
第三王子派閥の方だけど、王弟派閥のように簡単にはいかないようだ。
旧国には5つの公爵家があり、ひとつがマクファーレン公国を興したマクファーレン公爵家、ふたつ目がヴィンラウドを治めているロベラウド公爵家、三つ目が王弟派閥内にいるプラファード公爵家、残りふたつは第三王子派閥に付いている。
このふたつについてだが、細かくいうと第三王子を支持している家と第四王子を支持している家に分かれるようだ。
だが、いまは王弟派閥という同じ敵を持っているため協力しあって軍拡を進めているらしい。
一枚岩ではないが、離間工作を仕掛けるにもそれぞれの派閥の長が邪魔をする形のようである。
本当に面倒くさいな。
「ロベラウド公爵閣下、我々も第三王子派閥とは直接ことを構えたことがないため詳しい情報がわかりません。どこか戦争に反対している家はないのですか?」
「下位貴族であればいくつかある。だが、侯爵以上の上位貴族は全員戦争肯定派だ。多少のことで戦争をやめさせるのは難しいだろうな」
「なるほど。この状況下で王弟派閥を止めてしまうと、それはそれでまずいと」
「厄介なことだが、いま王弟派閥で内輪もめをされると第三王子派閥が一気に攻め立てるだろう。かといってこのまま時が過ぎるのを待つのも問題だ。秋の収穫が終われば、本格的な冬を迎える前に大攻勢を始めるはず。余計な被害者をうまないためには、その前に戦争を終結させておく必要がある」
王弟派閥は食糧にあまり余裕がないから、すぐに動くことは考えにくいけど、第三王子派閥は穀倉地帯を抱えていて収穫が終わると食糧の余裕ができるため攻め込みやすいと。
本当に面倒だな!
「配下の者をスパイとして送り込んではいるが、戦争の準備はかなりのペースで進められているようだ。あとは徴兵がどこまでうまくいくか次第だな」
「というと?」
「どうやらレジスタンス組織ができているらしい。かなり大規模なものになっているようで、うまく機能すれば国を倒せる可能性もある」
「ふむ、レジスタンス……」
レジスタンス、革命軍か。
結局のところ反乱軍だから、貴族であるヴァードモイ侯爵様やロベラウド公爵様にはあまり好ましくない存在だよね。
それでも、いまのところ一番頼りになりそうなのがそこだという事実。
本当にややこしいことになっているな、第三王子派閥は。
「どうします、ロベラウド公爵閣下?」
「レジスタンスと連絡を取り合っているところだ。条件は、第三王子派閥を倒したあと、政権を認める代わりに戦争をやめ略奪も行わないこと」
「レジスタンスがそれに従いますか?」
「あちらも正当な理由で国を倒し、国家として認められることを望んでいる。利害関係が一致する間は信用するしかあるまい」
本当に厄介なことになっているな、旧国は。
少なくとも王弟派閥と第三王子派閥の戦争を止めないことには、全地域の安定なんてないのだろうし、致し方ないのだろうけど、本当に厄介だな!
大切なことなので二度言った!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます