430. 王弟派閥の切り崩し
「ふむ、プラファード公爵の救助を引き換えとしてきたか」
一旦メルト子爵を牢へと戻し、ロベラウド公爵様と改めて今後の協議である。
メルト子爵の嘆願は王弟派閥に取り込まれている公爵の助命。
その公爵がプラファード公爵というらしい。
「いかがなさいますか、ロベラウド公爵閣下。メルト子爵を取り込むだけであれば簡単ですが、プラファード公爵を助けるとなると、かなり準備をしなければなりません」
「そうだな。プラファード公爵の屋敷に王弟も滞在し、そこで指揮を執っているという噂だ。そんな場所にいるプラファード公爵を助けるというのは、非常に難しい。だが、王弟派閥を切り崩す事を考えると、王弟を排除した後の旗頭として最適でもある」
「それは確かに。あとは、この戦争を続ける意思があるかどうかの確認ですね」
「そうだ。そこが肝心だ。王弟を排除しても、戦争を継続されては意味がない」
うーん、難しい話題が続いているなぁ。
商人である私にできることなんてそんなにないんだけど。
「ふむ、密使でも立てるか?」
「無理でしょう。王弟と同じ屋敷にいるのであれば、接触するにはかなりの危険を伴います」
「やはりだめか。なにか、意思を確認する有効な手立てはないものか……」
有効な手段か……。
こういうときはどうすればいいんだろう?
「出かけているときに話を聞いてみるとかですかね?」
「リリィ?」
「ほら、四六時中屋敷に留まっているとも限らないじゃないですか。街に出たときとか街の外に出たときとかに話を聞いてみるのはどうでしょう?」
「それが一番現実的なのだが……どうやってそれを実現する?」
そこが困ったところなんだよね。
さて、どうやって解決しようか。
「なんじゃ、そんなことで困るのか」
「プラムさん?」
「リリィ、護衛がひとり減るが、儂の手の者に任せよ。貴族同士の争いに手を貸すいわれはないが、今回はリリィも狙われているのでな。放置しておけば、また襲われるかもしれぬ。故に、今回は儂が手を貸そう」
「本当か、プラム殿」
「二言はない。お主らは人相書きと親書を準備しておけ。それから、切り崩すのであれば、もう一方の当事者の側も切り崩すべきじゃろう。そちらはどうする?」
もう一方、第三王子派閥のことだよね。
こっちは直接被害を受けたわけじゃないからあまり詳しく知らない。
でも、王弟派閥だけ抑えてしまうと、第三王子派閥から攻め込まれる原因になるか。
面倒だけど、どっちも相手にしなくちゃいけないみたいだね。
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