407. リリィの戦闘参加について

「……お主、正気か?」


 私が街の防衛戦に参加したいって言ったら、プラムさんに正気を疑われた。

 なにげにひどい。

 ただ、これはケウコさんたちも同じ意見のようで、私がわざわざ出ていくこと自体に反対のようだ。


「今回はお主も狙われているのじゃぞ? そこにわざわざ顔を出すのか?」


「そうすれば、私に攻撃が集中するかなって。私はタラトに守られていれば安全ですし」


「あー、うむ。タラトがいれば安全じゃな。それに、キブリンキ・サルタスたちが事前に情報を集めてくれるじゃろうから、相手が仕掛けてくるタイミングを誤ることもない。相手にわざと情報も漏らすことができるし、この上ない餌か」


「はい。私が狙われているんだったら、私の強さを思い知らせれば二度と攻めてこないんじゃないかなと。あちらはそもそもタラトの情報を知らないみたいですし、ここでガツンと印象づければもう来ませんよね?」


「そうじゃなぁ。そうなるなぁ」


「だったら、私が出ていった方がいいですよね? タラトは私の護衛ですから私のそばを離れませんし」


「そうじゃなぁ。そうなるなぁ」


 よし、理責めは完璧だ!

 あとはもう一押しなにかを付け加えれば!


「じゃがなぁ、タラトにも弱点があるじゃろ? そこを攻められたらどうするんじゃ?」


「そ、それは……。タラト、苦手なものってある?」


『不意打ちを受けると面倒かな。基本的に罠を張って戦うのが得意だし』


「……プラムさん。タラトは不意打ちが苦手だって言ってますけど、それってキブリンキ・サルタスで防げますよね?」


「……そうじゃな」


「私が出ていってもいいですよね?」


「……ヴァードモイ侯爵と相談じゃ。お主は間違いなく重点的な防衛対象であるからに、好き勝手はできまい」


 よし、プラムさんは崩せた!

 あとはヴァードモイ侯爵様だけ!


「ふむ、リリィが出陣か。それは今後も考えると大いに賛成だな」


「あ、やっぱりそうなんですね」


「それはそうだろう。リリィがいればタラトもキブリンキ・サルタスもいる。キブリンキ・サルタスたちがいれば諜報と拠点防衛は完璧であり、そこにタラトが加われば攻めてきた敵兵をまとめて制圧することができる。そのことを広く知らしめることができるのだ。対外的にこれ以上ないアピールだろう」


 だよね。

 やっぱり、私たちが出ていった方がいいよね!


「まあ、これは味方からも警戒されることになりかねないが、そこは私の方でなんとかしよう。お前は街の防衛だけに注力してくれればいい。政治的な話は私に任せろ」


 ヴァードモイ侯爵様って本当に頼りになるなぁ。

 よし、本気を出してみようかな!

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