406. ヴァードモイ側の備え
私たちはヴァードモイの街を守るため、早速行動を始めた。
具体的にはヴァードモイ侯爵様は兵と物資の調達、私はキブリンキ・サルタスたちによる防衛網の構築と、北と東にあるという敵陣地の監視である。
これらの行動は秘密裏に……というか、すぐさま実行され、敵に情報が漏れる前に準備が整ってしまう。
うん、我ながら早い。
「……というわけでして、北側の陣地にはメルト子爵が。東側の陣地にはモロガワード侯爵がいるみたいです」
いまはキブリンキ・サルタスたちによって調べられた敵陣地の情報共有。
頼んで2日で出てくるんだから本当に早いな。
「なるほど。それぞれの陣地に分かれているということか。それで、兵力は?」
「メルト子爵が五百ほど、モロガワード侯爵が二千ほどみたいです」
「兵種も知りたかったのだが……さすがにそれは厳しいか」
「馬もいたらしいので騎兵はいると思いますが、数までは調べてこなかったみたいです」
「それは仕方があるまい。そこまでわかれば十分だ。あとは、いつ仕掛けてくるかだな」
「もう少し探りを入れましょうか?」
「頼んだ。その間に、私は野戦陣地の構築に取りかかる」
ふむ、どうやらヴァードモイの街で迎え撃つんじゃなくてその前に陣地を作って迎え撃つんだ。
一般市民に影響が出ないようにするためかな?
私も賛成だし、そっちも手伝ってあげよう。
そして、徹底した諜報の結果、攻めてくるのはあと5日後とわかった。
なお、こちらは敵の情報を知りたい放題であるが、あちらにはこちらの情報は一切漏れていない。
キブリンキ・サルタスたちに手伝ってもらってヴァードモイの街中と周辺にこれでもかというくらいの警戒網を引いたからね。
敵の間諜は全部捕まえてしまっている。
だから、あっちの情報は筒抜け、こっちの情報はあっちに漏れていない。
そんな状況が続いているわけだ。
あっちの貴族たち、ストレスがたまっているだろうなぁ。
「防衛陣地の構築はこれくらいだな。あと、冒険者には街の防衛をお願いするように依頼を出しておいた」
「あれ? こういうときって冒険者は戦闘に参加しないんじゃ?」
「そうだな。徴兵はできない。だが、冒険者の自由意志で参加する分にはおとがめはないのだ。特に街の防衛についてはな」
なるほど、街の防衛については冒険者も動いていいのか。
それなら私だって動いていいよね!
一応冒険者だし、この街の住人だし!
それには……プラムさんたちの説得かな。
ちょっとこっちの方が大変そうだ。
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