380. 私がドレスを作ってあげた貴族家
デグサル男爵家へのキブリンキ・サルタスたちの配布も終わったため、私たちはさらに次の街へと進む。
3番目と4番目の街では特別変わったことはなかった。
やっぱりモンスターが警備に就くということに不安の声があがったが、キブリンキ・サルタスが気さくに声をかけて回ることでそれもすぐに落ち着いたみたいである。
本当にコミュ力まで高いな、この蜘蛛。
私たちは5番目となるポリシア伯爵家へと向かっている。
ここはわりと景気がよく、民からの不満も上がっていないいい地域なのだそうな。
そして、初めてとなる私がドレスを作ってあげた子供のいる貴族家でもある。
そういえば、ドレスと紳士服を作った数って合計で9着だよね。
そろそろ当人たちに会ってもおかしくない頃か。
配り歩くのは14貴族家なんだから。
ちょっと気が重いけど仕方がない。
気持ちを切り替えてポリシア伯爵家へとたどり着いた。
そこではやはりヴァードモイ侯爵様だけではなく、私も歓迎されたね。
よほどの良縁に恵まれたか。
「ようこそ、おいでくださいました。ヴァードモイ侯爵様、リリィ様」
「うむ。息災だったかね、ポリシア伯爵」
「もちろんでございます。リリィ様には先のお茶会でリシアのドレスを作っていただき、とても良縁に恵まれました。本当に感謝しております」
「それはよかったです。それで、今日の予定ですが、私のテイムモンスターを配りに来たということは大丈夫ですよね?」
「もちろんでございます。あの武人、コルスト男爵からも推薦状が届いております。コルスト男爵を納得させるとは、本当にすごいお方です」
コルスト男爵ってそんなに発言権があったんだ。
詳しく聞くと、コルスト男爵は何代か前に武勲をあげた騎士が爵位を授かりいまの土地を治めるようになったらしい。
最初は小さな村の規模だった街を何代もかけていまの規模まで成長させたようだ。
誇り高く、悪事にも手を染めず、領地の守りを最優先に考える武人、それが周りからのコルスト男爵の評価である。
実はポリシア伯爵家の娘、リシアちゃんの相手というのが現コルスト男爵の孫というらしい。
現コルスト男爵の長男の子供であり長男であるため、将来的にはコルスト男爵家を継ぐ可能性が高い。
また、まだ8歳だったらしいがしっかりとしつけも行き届いており、貴族としての立ち振る舞いも完璧だったそうだ。
いまはまだ手紙をやりとりする程度の仲でしかないけど、将来的には婚約まで持っていきたいのがポリシア伯爵とコルスト男爵の望みらしい。
いや、私の作ったドレスが縁結びのきっかけになってくれたようで本当によかったよ。
結構高かったはずだしね。
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