136. 車、買っちゃいました
結局、私はみんなに促されるままこの『ルミテグランドウィング』を買うことに決めた。
商業ギルドからの融資は3000万ルビスだけにする。
アリゼさんによると、私の預金はあと2000万ルビスほどあるそうだ。
そこから来年分の税金を支払っても1000万ルビスは残る。
……ほら、あまり借金ってしたくないじゃない?
ともかく、売買契約書を取り交わし、正式にあの魔道車は私の物になった。
「リリィ様。それで、あの魔道車はもう乗って帰られますか?」
「え? ええと……」
「運転免許などの準備がお済みでないのでしたらお預かりしておきます。車体に店のエンブレムを入れることもサービスさせていただきますよ」
「じゃあ、それでお願いします」
「かしこまりました。運転免許教習所については商業ギルドのアリゼ様の方が詳しいでしょう。そちらからお尋ねください」
「はい、わかりました。魔道車のことよろしくお願いしますね」
車のことをナサレノさんに任せ、アリゼさんから運転免許教習所について話を聞いてみる。
教習所自体はこのすぐ側にあるようだ。
ただ、教習所の全課程をこなすには早い人でも二週間くらいかかるらしい。
お店の経営も行う必要がある私では一カ月以上かかるだろうとの話だった。
さすがに一カ月も納車を待ってもらうのは悪い。
どうしたものかと考えていたところ、最初の間はアリゼさんが変わらず運転をしてくれるそうだ。
ダイゴセブンティーンの時と同じ免許証で運転できるらしく、街中の運転は自動運転にまかせればいいのでダイゴセブンティーンよりは楽だろうと言っている。
そういえば、ダイゴセブンティーンって自動運転がなかったよね。
それから、メイドのタニアと騎士のジェナにも運転免許を取らせるように進言された。
そもそも、護衛対象が暢気に運転しているという状態は好ましくないらしい。
ルミテグランドウィングもオフロード仕様である以上、ガラスは通常のガラスではなく強化クリスタルらしいけど、それでも私が狙いやすい運転席にいるのはまずいようだ。
なので、侯爵家から派遣されているだけとはいえ私の部下になっているふたりにも運転技術を覚えさせた方がいいとアリゼさんは教えてくれた。
もっとも、タニアはもう運転免許を持っていてもおかしくないらしいが。
侯爵様のメイドってそういうものらしい。
よくわからない。
実際、帰ってからタニアに聞くと、小型車免許なら持っているといわれた。
街へ買い出しに行くときに使っていたらしい。
でも、今回ルミテグランドウィングで必要な運転免許は特殊大型車免許。
講習が楽になることは確かだけど、やっぱり受け直しだそうだ。
ちなみにジェナは運転免許を持っていなかった。
つまり、私と一緒に一から受けることになる。
あと、『山猫の爪』のみんなもこの機会に運転免許を取るそうだ。
使う機会は私の護衛を終えるとないだろうけど、持っていて損はないらしい。
運転免許って簡単に取れるのかなぁ……。
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