129. ドリーブズゴーレムの核と魔石の性質
冒険者ギルドとの合同討伐があった翌日、私たちは冒険者ギルドに呼び出された。
仕方がないので行ってみると、そこにはアリゼさんの姿もある。
どうしてアリゼさんまでいるんだろう?
「あ、リリィさんたち。来てくれましたか」
「おはようございます、メラニーさん。どうしてアリゼさんがここに?」
「商業ギルドを代表して来てもらいました。今日はドリーブズゴーレムの素材……核と魔石の取り扱いについて説明をする予定ですから」
「はぁ」
なんだかよくわからないけどそういうことらしい。
アリゼさんを含め、私たちが連れてこられたのは冒険者ギルドの屋外にある訓練場。
ただし、今日は利用者が誰もいない。
私も利用したことがないけど、誰もいないなんてあるのかな?
「今日はドリーブズゴーレムの核と魔石を取り扱う際の実践をするために訓練場を閉鎖してあります。外部からも覗かれないように遮断してあります」
「そこまで危険なんですか?」
「危険ですね。まずはデモンストレーションです。準備をお願いします!」
メラニーさんの号令で冒険者ギルドの職員らしき人たちが訓練場の真ん中にふたつの物を置いて離れていく。
遠目で見るしかできないから判別しにくいけど、ドリーブズゴーレムの核と魔石だろう。
これから一体なにが始まるのか。
「それでは準備も整いましたので。次、お願いします!」
メラニーさんが再度号令をかける。
すると、ドリーブズゴーレムの核と魔石に雷属性の魔法が当たり……大爆発を起こした!
一体なんなの!?
「……と、まあ、これがドリーブズゴーレムの核と魔石の危険性です。ちなみに、雷属性の魔法以外では反応しませんでした。ただ、微弱な電気でも爆発したので、雷魔法以外でも爆発する可能性があります」
そんな危険物だったんだ……。
なにも知らずに運んでいたよ。
「昨日、討伐に向かったギルド職員から聞きましたが、雷属性の魔法で爆破したドリーブズゴーレムからは核が取れなかったそうです。逆に氷属性の魔法で凍らせて倒したドリーブズゴーレムからは核が取れた模様です」
「そうだったんだ。私たちはあまり気にしないで倒してたよ」
「それは仕方がないでしょう。さて、問題はドリーブズゴーレムを倒したあと、核と魔石の取り扱いについてです」
うーん、魔石はともかく核は危険物なんだから地面に埋めて放置でいいんじゃないかな?
そう聞いてみたんだけど、それだとだめらしい。
「ドリーブズゴーレムの核を土の中に埋め込んでおくと、数分後に新たなドリーブズゴーレムが生まれることがわかりました。魔石も再生するので魔石集めにはいいのですが、ドリーブズゴーレム自体が強力なため推奨できません。そのため、倒したあと核も持ち帰る必要があります」
「核だけじゃ爆発しないの?」
「はい。あくまで核と魔石がセットになった場合のみ爆発します。そのため、核だけを処理することも出来ないんですよ」
うーん、難しい問題だ。
そもそもドリーブズゴーレムを倒した場合、得られる素材は核と魔石くらいしかない。
ドリーブズゴーレムの体は枯れ葉や枯れ木の集合体でしかないのだから。
でも、そのふたつを同時に持ち帰るとき、大爆発を起こす可能性があるんじゃ危険すぎるよね。
別々の袋に入れておいた場合でも、なにかのはずみでぶつかった瞬間に爆発しないとも限らない。
冒険者ギルドはどうしたんだろう?
「核を放置すると新たなゴーレムが生まれ、魔石を放置すると共食いでモンスターが強化されます。なので、冒険者ギルドとしてはふたり以上で狩りに行ってもらい、核と魔石を持つ者を分けてもらっています。これがいまのところ一番安全な方法なので……」
「だよねぇ……」
近くにあると危ないなら別々の人が持つ、それが一番の安全策だろう。
でも、持ち帰った核ってなにに使っているんだろうか?
「ドリーブズゴーレムの核は火をつけると高温で長時間燃え続ける燃料になります。水をかけると消えますし、ドリーブズゴーレムの魔石が近くにない限り雷魔法を当てても爆発しません。商業ギルドで買い取ってくれませんか?」
「うーん、私ひとりの独断では……。危険物でもありますし」
鍛冶師にとってはいい燃料になりそうだけど、商業ギルドとしてもこんな危険物を引き取るのは困るよね。
結局、商業ギルドが引き取るかどうかはアリゼさんでは決められないので帰ってから話し合うということにしたみたい。
当然の結果かな。
あと、私のリュックに入れている限りはふたつが共存していても爆発することはないそうだ。
私のリュックって容量拡張がかかっていて内部は不思議空間になっているから、隣接している扱いにならないらしい。
ここでも女神様に感謝かな。
これはこれからも時々私たちがドリーブズゴーレムを倒しに行かなくちゃだめかな。
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