127. ドリーブズゴーレムの対処

 ドリーブズゴーレムを倒して来た帰り、冒険者ギルドに寄ってメラニーさんにドリーブズゴーレムの魔石と核を渡そうとした。

 そうしたら、捕まってしまい、そのままギルドマスタールームに引きずり込まれる。

 私なにも悪いことはしていないのに。

 メラニーさんに冒険者ギルドマスターのロランさん、サブマスターのオードさんまで集まってひとつひとつ検品していく。

 そこまで危険物じゃないと思うんだけどな。


 鑑定……というか、確認が終わった3人は、緊張を解くようにソファーへともたれかかった。

 なんか、お疲れ様です。


「リリィさん、これって森に分け入ってから30分程度の場所で集められた魔石で間違いないんですよね?」


「間違いありませんね。警戒しながら進んだのでちょっと歩くのが遅かったくらいですが」


 それを聞くと冒険者ギルド組は更に深い溜息をつく。

 いや、気持ちはわかるけどね……。


「街道から入って30分の場所まで迫っているのであれば討伐隊を編成して対処せねばなるまい」


「でも、ドリーブズゴーレムですよ? 氷属性の魔法か雷属性の魔法がなければ自爆攻撃をされて余計な負傷者を増やすだけです」


「そうですね。ギルドマスター、討伐隊の編成は構いませんが氷と雷の属性魔法をある程度扱える魔法使い中心にしないとヴァードモイ冒険者ギルドの屋台骨が揺らぎますよ」


「ぐ……どの程度の規模が必要だ?」


「リリィさんたちは連携が取れてますからね。それを加味すると、寄せ集めの討伐隊では4人組でひとりが雷魔法使い、ひとりが氷魔法使い、ひとりが凍ったゴーレムの破壊役、ひとりが残りのドリーブズゴーレムの引きつけ役兼盾役でしょうか」


「うーむ、それでも見積もりが甘いのではないでしょうか、アリゼさん。彼女たちの能力を考えると盾役がもうひとりいた方がいい気が……」


「しかし、ドリーブズゴーレムの爆発が報告通りの規模なら盾役などよほどの高性能装備ではない限り意味をなさないでしょう。そこも鑑みると……」


 うーん、3人の間で話が堂々巡りしている。

 これじゃまとまるものもまとまらないね。

 私からも提案してみよう。


「あの、とりあえず明日も私たちはドリーブズゴーレムを退治しに行きます。その結果を見てからどの程度の部隊を組むか考えてもいいのではないでしょうか?」


「……明日も行くつもりなんですか、リリィさん?」


「行きますよ。今回は氷属性の魔法使いも必要ですからね。『山猫の爪』だけでは人数不足です。私も魔法使いとして参戦しないと」


「なるほど……わかりました。ただ、冒険者ギルドから観測員をつけさせてもらいます。基本的に自衛を出来る者を選んでつけるので邪魔にはならないと思いますが、よろしくお願いします」


「はい。引き受けました。それから、今日倒した分の核と魔石は預けますので実験に使ってください」


「いいのですか? 魔石をタラトに与えなくて」


「緊急事態ということで一日分くらいは我慢します。余った分は返してくださいね」


「もちろんです。いまの話の内容を書面に起こしますので少々お待ちを」


 細かい取り決めまで書面に残すって冒険者ギルドも変わったよね。

 いや、メラニーさんは前からこんな感じか。


 ともかく、私たちはドリーブズゴーレムの核と魔石を預けることにした。

 ただ、この状態でも爆発する恐れがあるため、実験などは必ず街壁の外でやってもらうよう進言しておく。

 あちらもそこは心得ていたようで、核も含め厳重な警戒態勢下におくそうだ。

 私たちも明日の仕事をこなさなくちゃね。

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