126. ドリーブズゴーレム
アリゼさんが運転する6人乗りの魔導車に揺らされること一時間、私たちはドリーブズゴーレムがよく出没するという森までやってきた。
確かにここは森と街道の距離が近くなっていて危ないかも。
反対側も林になっているせいで逃げられないし、早急な対策が必要だね。
「いかがでしょうか、皆様から見てこの森は」
「見た限りなにもない森なのだが……本当にドリーブズゴーレムというモンスターが出るんだろうな?」
「ケウコ、商業ギルドからの依頼、疑ってかかるのはよくない」
「しかし……ただの森だぞ?」
「そうなんですよねー。生き物の気配がないのも冬ごもりのためと考えれば不思議はありませんしー」
「ひとまず進んでみましょう。あちらは縄張りの中に入れば襲ってくるという話ですし」
「そうするか。リリィ様は私たちの中央で守られていてください」
「うん、わかった。タラトは樹上から見張りね」
『任せて』
私たちの配置が決まり、魔道車の見張りをするアリゼさん以外全員で森の中へと侵入していく。
森の中は……異様なまでに静まりかえっていた。
「……さすがにおかしくないか? ここまで生命の気配がないというのは」
「そうねー。かといって、話に聞いた特徴だとー、私が先行偵察に出る意味が……」
「うん、ここは、全員で、動くべき」
「じれったいですがそういたしましょう」
そのまま森の中へと分け入っていくこと30分ほど。
突然周囲に魔物の気配が湧いた!
「な、なんだ!?」
「誘い込まれた!?」
「これがドリーブズゴーレムですか!?」
「囲まれていては戦えません! 退路を開きます!」
すぐさま、トモアさんが正面のドリーブズゴーレムに対して雷属性の魔法を放つ。
その結果、感電したドリーブズゴーレムはその場で勢いよく火柱を上げて爆発したのだ!
「くっ!? これでは退路にならんぞ!」
「私が氷属性の魔法で全部凍らせます!」
「すみませんがお願いできますか、リリィ様!」
「はい! タラト、私を木の上に!」
タラトに頼んで木の上まで引っ張り上げてもらい、そこからドリーブズゴーレムを狙い撃ちにする。
事前情報通り、氷属性の魔法が当たったドリーブズゴーレムは凍りついていき、動きを鈍らせ物理攻撃にも脆くなっていった。
ただ、氷属性の魔法の場合、雷属性の魔法と違い、何発も当てるか強力な魔法一発で一気に氷漬けにするかを迫られる。
いまだって初級の氷属性の魔法を雨あられと連射しているほどだ。
それでもドリーブズゴーレムの数はなかなか減らず、むしろ増えていっている感じすら覚える。
ケウコさんはトモアさんの雷属性の魔法も解禁し、遠くのゴーレムを倒すようになったがそれでもなかなか減っていかない。
すべてのゴーレムを倒し終わったのは3時間後だった。
「お疲れ様、みんな」
「お疲れ様です、リリィ様」
「怪我はしていない?」
「おかげさまであまり。凍った部分を攻撃する分には刺突剣も有効でしたから」
「そっか。じゃあ、魔石を集めて撤収しよう。さすがにもう一度戦うのは無理でしょう?」
「ちょっと無理がありますね。規模が同じだと集中力が保ちません」
5人と1匹で手分けしてドリーブズゴーレムの魔石を集める。
一部、核が残っているものもあったのでそれも集めておいた。
集まった魔石の数は673個、よく生き残れたものだ。
さすがに尋常ではないので急ぎアリゼさんの元に戻り判断を仰ぐ。
アリゼさんもここまでだったとは思わず、すぐに冒険者ギルドへ向かうことを提案してくれた。
冒険者ギルドか……。
氷属性の魔法と雷属性の魔法を覚えている冒険者ってどれくらいいるんだろうね?
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