第41話 建国式典
スタンシアラ建国500年式典。
「流石はお祭りね。すごい人がいるわね。」
「国外からも参加者が居るみたいですよ。それに各国の要人達も招待されているようですね。あたしも楽しみです!」
「フレアも嬉しそうね。ミレーネはどうなのかしら?」
「最近は慈愛の聖女リーゼロッテの事を調べていると、なんだか情がわいちゃったんですよぉ。他国では奴隷制度の廃止で当時の貴族がリーゼロッテを混沌の聖女と認定したのでスタンシアラ王国もリーゼロッテを大々的に祝えないんですよぉ。」
「そう...それは残念ね。外交上まだまだ厳しいみたいね。」
「はい、悪魔を追い詰めた勇者フリードの出身国であるサラマーン帝国は特にリーゼロッテを悪くしてるんですよぉ。」
「サラマーン帝国といえば、1000年くらい続いている大国よね。そうゆうしがらみもあるのね。」
「エリス様、サラマーン帝国には未だに奴隷制度があるのです。大国を維持する労働力は奴隷を使うのが1番です。あたしもサラマーン帝国にいたらスラムじゃなく、奴隷になっていたかも知れません。」
「フレアはどこにいても、わたくしが奴隷になんてさせませんわよ!安心なさい。」
「はい!あたしはスタンシアラ王国でクライバート領にいて良かったです!」
街の中はお祭りモードになっていて、露店や屋台で溢れている。
「あっ!エリス様。いらしたんですね」
「アーニャ!お祭りの時までご苦労様ね」
「今が稼ぎ時ですから!フレアもミレーネも楽しんでね。エリス様をよろしくお願い。」
「アーニャさん、あたしが着いてますから安心してください!」
「フレアが1番お祭りを楽しみにしてたじゃない。貴女が1番心配ね。」
「そんな事ないですよ!」
「なら、その手に持ってる物は何かしら?」
アーニャにもツッコまれてるけど、好奇心旺盛なフレアはここに来るまでにクジの賞品やら綿あめやらを手に沢山持って楽しそうにしてるんだよね……
「商業ギルドを通してエリーニャで提案した事ももお祭りで行われてるんですよ!ピッチングやフリースローってゲームが人気なんですよ!さすがエリス様のお考えになられた事ですね!」
ボクたちはしばらくの間、お祭りを楽しむことにした。
……スタンシアラ城の一室……
「さて、王都に魔族が侵入していたとなると、いよいよ気を引き締めなおさないといけませんね。」
「まぁ、狙いはエリス嬢ってとこだな。ただ、まぁ、縛り付けておく訳にもいかないだろ?」
「そうですわね。いまはシャルとリュークが側にいますが、エリスさんの魔力は日に日に増大していますわね。」
「まっ、上手いこと、リーゼニアの子供らと仲良くしられたからな。うちの愚息も同じクラスに行かせてるが、タイプが違いすぎるからなぁ...それで?お前はどう思うんだ?ダグラスよ。」
「そうですね。エリスが生まれた時にリーゼロッテの生まれ変わりとは思いましたが、成長するにつれて疑惑は核心へと変わってます。特に10歳までは手の付けようのないほどだったのが、急に変わりましたから。何かあったのかも知れません。」
「女の子は成長が早いですからね。でも、もしあのまま我儘を続けていたら捕らえる事も視野に入れていたのですが、調べさせても良い印象しか無い女の子になりましたね。」
「リーゼロッテの記憶か……?」
「シャルが深い傷を負って、それをエリスさんが治した様ですから。力が受け継がれたのかも知れませんね。」
「エリスが産まれて、ずっと文献を漁っていましたが、この500年シルバーヘアで魔力の高い女性は生まれてきていないです。」
「エリスさんが拗ねちゃったのはダグラスが父親なのに会いに行かなかったからですよ?物を送ってたら我儘になるだけです。」
「それを言われるとな。困りますが。ただ、今は王妃と公爵のお力が必要なんだと思います。」
「ダグラスも叔父様も女の子の接し方を知らなさすぎるのです。そろそろ私がエリスさんに接触しますわね。」
「ただ、リーゼニア、ダグラス。警戒するのは魔族だけではないぞ。サラマーン帝国もやけにリーゼロッテを目の敵にしている。帝国も用心しろよ?」
リーゼニア王妃、ヴィンスネーク公爵、ダグラス・クライバートの3名の密談。
エリスの処遇について話し合いを行っているが、未だに方針は決まらずにいた。
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