第35話 お風呂での出来事

「エリス、お兄様がごめんなさい。」


「ううん。シャルが悪いわけじゃないし。」


「でも、あんなに強引な人じゃないんだけど。エリスがこっそり私達に結界魔法を掛けたから怒っちゃったのかもね」


「なんかおかしいのはわたくしも分かったもの。保険よ保険」


「でも、お兄様がエリスにお熱なのは確かなようね!」


「これってモテてるって事なのかな?」


まさかの求婚...

前世でモテなかったわたくしにとって、悪い気は起こらなかった。

もちろん!全力で断るけど。


「私は夜間警備の巡回があるから一緒に居てあげられないの」


「うん、わたくしは平気!それよりも夜間警備の巡回って大変だね」


「王族がふんぞり返ってばかりいる訳にいかないでしょ?習い事とかも大変なのよ?」


「うん、お互い頑張って今夜を乗り越えましょ」


案内された客間はわたくしのクライバートの部屋よりも豪華で逆に落ち着かなさそう...


シャルと入れ替わりで入ってきたメイドさんがドレスを脱ぐのを手伝ってくれたんだけど。

キツく締められていたせいでお腹も胸も跡が着いちゃった。


ドレスを着るのに、メイクをした事と胸元にはラメを塗られてキラキラしているから、もう一度お風呂に入らなきゃダメっぽい……


ガウンを着て、メイドさんにお風呂に連れていってもらった。


ちょっとした銭湯のようなお風呂で、これだけのお湯を確保している事で優秀な魔法士がいるって事は、さすがお城って思うよね。


メイクとラメを落として、久しぶりにゆっくりとお湯に浸かった。

前世でも嫌な事があったら、お風呂に浸かって気持ちの切り替えをしていた。



もし...前世の記憶が蘇らなくて。

エリスのままなら、あんなにイケメンの王子様からの求婚は断らなかったのかな?


イケメンって思うってことは。

既に、女子の気持ちになってるんだよね。



ガラッ……


入口のドアが開く音がした。

メイドさん?


「やぁ、エリス嬢。湯加減はどうだい?」


「えっ!」


その声に慌てて手で胸と股を隠した。

てか、どっち隠したらいいの?


下半身にタオルを巻いて、仁王立ちしているリューク王子...


服を着ていたから分からなかったけど。

凄い筋肉...

状況が違えばうっとりしてしまうかも知れない肉体美。


「少し2人で話をしたいと思ってね」


「ここお風呂ですわよ?」


「そんなに恥ずかしいなら、このタオルを使うといい。シャルは隠しはしないがね。」


「恥ずかしいに決まってますわよ!それにシャルと一緒に入ってるの?」


「あぁ。俺が入ると後から着いてくるんだ。」


浴槽の中でタオルを巻いたけど、それでも恥ずかしいのは変わりない……

まぁ、少しだけ残ってる前世が男って事で普通の女の子よりは取り乱さないで済んでるわね。


てか!お前も隠せ!!


やっぱりこの世界の人は大きいらしい。

見たくもないけど、隠しもせずに仁王立ちしてるリューク王子が変な人なのはこれで確定だね。


「エリス嬢、君は誰かと身体を交えた事はあるか?」


「へ?どうゆう事?」


「あぁ、判りにくかったか。誰かとセックスはしたか?」


「は?し、してないわよ!馬鹿じゃないの!!」


「中々辛辣だね。それがエリス嬢の素なのかな?」


あまりにも唐突な言葉に思わず失礼な言動をしちゃったけど、前世でもエリスでもこんな言葉を使ったのは初めてかもしれないわね。

あ、処刑ルートのエリスなら普通に使ってるわね……

もしかして、女の子の気持ちになるにつれて本来のエリスの性格が出てきた?

それはダメ!気を付けなきゃ。


「なら、魔力を巡らせた状態で何らかの方法で本当にの人と魔力の共有を行った事はあるかい?」


それなら、アルスに習った時に...


「心当たりあるようだね。」


「それが何かあるのですか?」


尋ねるとゆっくり近付いてきたから、無意識に光魔法の物理バリアと右手に小さなアースボールを作り出した。


「おっと、そんなに警戒しなくてもいいよ。何もしないし、それに光魔法はやめといた方が良いぞ」


例えイケメン王子だとしても、全裸の男が近づいてきたら警戒するでしょ!こっちが男でも警戒するわね。


「1つ。光魔法は辞めるんだ。2つその右手の魔法は放つなら覚悟した方がいい。大怪我するよ?」


リューク王子は魔力を纏ってその場に止まった。

怪我をする?

ボクもそう簡単にはやられないよ?

シャルのお兄様だから、相当強いのだろうけど。

それに、王子に怪我をさせたら処刑ルート一直線よね。



言われた通り、魔法を解いた。


「うん、いい判断だ。シャルの強さは知ってるね?」


「えぇ。知っておりますわ」


「なら、話は早い。武力は全てシャルが持っていった。その代わり俺は支援系の魔法が得意なんだよ。」


「それが何か?」


「そうだね。もし、エリス嬢がアースボールを放ったら。俺は大怪我していただろうね。そして、君の入浴中にお風呂に侵入したとなれば、シャルに殺されるだろうね。」


「え?」


「そう、俺は弱いぞ?その分。エリス嬢の魔力が何かによって変換されて蓄積されているのがわかるんだ。」


「魔力の変換?」


「きっと気付かれないようにしているんだ。目的は、君の光属性といった所かな?」


リューク王子がボクの頭に手を乗せると、今まで見えていなかった変換された魔力が見えるようになった。


へその下あたりをグルグル回っている。


「少し良いかな?」


タオルを巻いてるへその下をリューク王子が触ると、激しい痛みが襲った。


「これは...大層な人らしいね」


腕、足、へそ、胸、背中に呪印の光が浮かび上がった。


「これは解呪しなければ君の光属性は奪われる事になってしまう。お風呂から上がったら俺の部屋にくるんだ。いいね?」


きっとこれは行った方が良いんだと思った。


ボクに呪印なんて。

アルス...あなたは一体なんなの?


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


※次話から話が進みます


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