第32話 アーニャの独立
王都に着いてから帰りが遅くなる事をアーニャに伝えてからシャルの家(お城)に行った。
ようするに、休んでも良いよって言った訳で。
ボクが寮に戻ってもアーニャの姿は無かった。
別にアーニャが居なきゃ何も出来ない訳じゃないし、ボクは湯浴みをしてメイクを落として魔法書を読んでいた。
「エリス様!お帰りになられていたんですか?遅くなってすみません。」
「アーニャ、別にゆっくりで良いのよ?1人でだって出来るもの。」
「エリス様...そんなに冷たい事は言わないで下さい。私はエリス様のお世話をする事が生きがいなんですから!」
「そうね。いつもありがとう。」
「エリス様、湯浴みはもうお済みになられましたか?」
「うん、アーニャも入ってきなさい。」
「はい、ありがとうございます。」
湯浴みを終えたアーニャは薄手のパジャマを着ている。だだ、胸元にうっすらと痣が見えた。
あ〜。
前世で恋人がいる従業員がたまに付けて来るやつと同じ。
王都にいるという幼なじみと、そうゆう関係になったのかもしれない。
アーニャが居てくれることは嬉しいけど、アーニャにも幸せになってもらいたい。
ボクがいつまでもアーニャを拘束する訳には行かないよね。
「アーニャ?幼なじみとはどうなのかしら?」
「えっ?どうって……」
「大丈夫よ。ボクはアーニャの幸せを願ってるんですもの。正直に言ってね」
「はい...その、もう23になりますから。一緒にならないか?とは言われました。」
「そう、良かったじゃない。」
「ですが...エリス様から離れる事はしたくないので、お断りしました。」
「なんで!!」
それは苦渋の決断だった事は顔を見たらわかる。
ボクたちも5年の付き合いなんだし。それに前世で色んなアルバイトを見てきた訳だし。表情でわかってしまうのよね。
「なんでと言われましても...私の生きがいですから。」
「あなたの幸せを奪うようなら、ボクは悲しいよ。アーニャにはお世話になったんですもの。表情を見たら分かりますわ?」
「エリス様……」
「なら、こうしましょ?今後は王都にレディース用品のショップを進出させようと思ってるの、そこを信頼出来るアーニャに任せたいと思うわ。アーニャはボクの側で見ていたから、なんとなくは分かるでしょ?お店が軌道に乗ったら、お店を任せてボクのお世話に来ても良いし、結婚だってして欲しい。」
「ですが……」
否定の言葉を言っても、アーニャの目の輝きが変わった事くらいわかる。
だから、寂しいけど。
ボクはアーニャの為にもメイドというポジションから外した。
アーニャなら良いお母さんになれると思うし。
それから、商業ギルドを通してテナントを見つけてアーニャにはショップの王都支店を任せることにした。
しかも、その間わずか1週間……
ボクは商業ギルドの力を舐めていたのかもしれないわね。
そのショップの名前はエリーニャに決まった。
エリスとアーニャを掛けた単純な名前なんだけど、アーニャが考えて嬉しそうだったから、その名前で許可をだした。
「ふぅ...初日は忙しかったわね」
「エリス様にまで手伝って頂いて申し訳ないです。」
「いいのよ。ボクもアーニャと働けるのが嬉しいもの。」
そんな会話をしていると、お店の外に人影が見えた。
レディースショップなのに、男性??
素朴そうな感じの男性なんだけど……
アーニャが小さく手を振ってる
あー!なるほど
「アーニャ?もういいわよ。後はボクたちでやっておくわ。フレアもミレーネもいるんですもの。」
「ですが...」
「大丈夫よ。それに...たまにはお泊まりして来なさい」
半ば強引にアーニャを送り出すと、2人で手を繋いで歩く2人が見えて、気持ちがほっこりとした。
売上の確認をしてから、寮に戻って久しぶりに1人の時間を作る事が出来た。
もちろん、友達といるのも良いけど、やっぱり1人の時間も必要よね。
今頃アーニャは楽しんでるのかな?
お泊まりということは……
そうゆう行為を行うんだろうね♪
それは40歳のオヤジの思考なのか?
それとも、15歳の思春期の思考なのか?
男の時とは違う下半身の疼きを感じた。
慌ててるパンツを脱ぐと、尿漏れ?
嫌だわ……
ん?これは女の子の……
触ると粘り気があり、尿漏れでは無いことを確認して...
「……っ!!」
何この感覚……
また、指で触ると
「……んっ」
ダメ!おかしくなっちゃう...
未知の領域に足を踏み入れるかを悩み。
疼きが指を近付け、理性が指を離す。
ボクの意思は弱かった。
絶頂を迎える前に限界がきて、ボクはそのまま眠りについていた。
……これは夢?
薄暗い部屋に閉じ込められている。
服はボロボロになり、白い手足は傷があって、鎖のついた枷が付けられている。
現実と同じく下半身の疼き?
いや、痛い……
「バカヤロー!」
えっ?誰??
あ、牢屋……
「ちゃんとこれを付けろ!」
「すみません」
怒鳴っていた男がボクの首に何かを付けると、残り少なかった魔力の反応は無くなった。
「ったく。聖女相手に魔力封じの魔道具を付けないでどうすんだ!」
その男の頭にはツノ?
「もし逃げられでもしたら、魔王様に俺まで殺されるじゃねーか!」
「なら魔王様だって、ベッドに連れていった時には首輪を付けたらいいのに...」
「あ?何か言ったか?」
「いえ、なんでもありません!」
「バカヤロー、聖女の光属性を奪うのには魔力封じなんてできねーだろ!」
「魔王様が孕ませた後は、お零れを貰えるんですかね?」
「どうだろうな?こんなに美人なんだ、そこはお前と同じ意見だな。だが...魔王様自ら処刑するらしい。」
あぁ〜、結局処刑ルートからは外れてないんだ。
しかも、今回は魔王に?
でも、今回分かったことは...
行動次第でルートは変えられるってこと。
でも、なんで魔王に攫われたの?
聖女……
それが原因なのかな...
そこで夢は終わった。
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