第31話 お城に来ちゃいました
「シャルさんって貴族さまなんですかぁ??」
シャルの家に向かってる最中にミレーネが質問をしていた。夢の時のミレーネと印象が違って天然元気っ子なのは、ミレーネの本当の姿なんだと思う。
処刑ルートのエリスにはそんな態度はだせないよね。
「貴族??違うわよ?」
「「「え??」」」
ミレーネ以外の声が重なった。
「なら、ギルド関係者なのね?」
「それも違うわ」
どれも否定するシャル。
だけど、森から抜け出した頃にボクは何となく気が付いてしまった……
「シャル?凄い人数の気配を感じるんだけど?」
「エリスはこの気配に気が付くのね。まぁ、あれだけの事をやっていたのだから、当然よね。」
「もしかして、泉にも??」
「離れたところから見ていたはずよ?」
「だから...その...」
「そう。エリスったらブラを外すんですもの。ビックリしたわよ」
不特定多数に、成長途中の胸を……
ボクは頭を抱えてながら街へ入って、ボクは見覚えの新しい風景を見て建物に入った。
みんな無言……
その建物の奥へと入ると。
「帰ったわ。お友達とお風呂に入りたいから用意してくれる?」
「かしこまりました。シャルロッテ王女様。」
さすがのボクも言葉が出なくて無言になった。
「「「……」」」
「どうしたの?こっちよ?」
「いや...シャルって、、シャルロッテ様って……王女様なの……ですか?」
「やだ、やめてよ。今まで通りでお願い!」
「え、う...うん」
ビックリしたけど、シャルは至って普通だったし。
お風呂の裸の付き合いでもシャルはシャルだった。
「みんな、寮なんだし。ご飯食べていくわよね?」
「え……」
「大丈夫よ。お友達との食事だもの。お父様達とは別の所で食事をするわよ。」
偉い人に会わなくて良かったと思うのは前世の鬼畜な会社のせい?
いや、みんな安堵した顔をしてるから。そんな事は無さそう。
「でも、私はちょっと挨拶してくるから、少し待っててね」
シャルは1人で脱衣場から出ていくと、ボクたちはメイドの人に食堂まで案内された。
「エリス様……ここって食堂ですよね?」
「うん...王様達の使ってない食事みたいよ?」
「こちらは大臣の方々と食事をする時に使用する食堂になっております。」
メイドの人が不思議そうなボクたちに答えてくれた。
「フレア...良かったわね。大臣達も使うって事は金ピカの装飾があるのも頷けるわ」
「エリスさんの、家もこんな感じなんですかぁ?」
「そんな訳ないでしょ?クライバートの聖女って呼ばれてるくらいですし、商品も爆売れじゃないですかぁ?」
「え、クロエまで気が付いてたの?」
「知らない方がおかしいですよ!女子はみんなわかってますよ?だって商業ギルドで買った物にはエリスさんの似顔絵がついてますからねっ!」
「え?」
知らなかった...クライフ様はなんて事を……
「クロエさん、エリス様はとても庶民派なの。食事もあたし達と同じだし、贅沢なんてしないの。あたしと初めて会った時なんて、泥だらけになって、スラムの人達混ざってたんだから。」
「えぇ!!そりゃ聖女とも呼ばれますね」
そんな話をしているとシャルが戻ってきた。
「お待たせしましたわ。」
ストレートの金髪を降ろして、ドレスに身を包み。
薄く化粧をしたシャル。
ボク達はその変わりように驚いた。
世間では絶世の美女とも、呼ばれている王女様。
商業ギルドでも、冒険者ギルドでも高ランクになり、日々の稽古でなかなか表舞台には現れない。
そのため、まだ顔の認知はされていないけど。
これが王女様なんだと思い知らされる姿だった。
「どうしたの?席についてお食事をするわよ?」
「いや、シャルが綺麗すぎるから」
「そんな事ないわよ?エリスだって……そうねっ♪」
シャルは目を輝かせて手をポンっと叩いた。
悪い予感しかしないわね……
食事のあと、ボクは身ぐるみを剥がされ……
キツいコルセットをつけられ……
初めてのメイク……
「わぁ!エリスさま綺麗!!」
ボクもシャルの様な格好をさせられた……
嫌だ!やめてっ!!
って言ってたけど、案外悪い気はしないのは何故だろう……
「苦しいですわね……」
「慣れよ。行くわよ?」
「え、どこに??」
ボクたちは王宮の中を歩かされた……
ヴィンスネーク様もいらっしゃって、少し驚いた顔をしていたけど、恥ずかしがるボクとしてやったりのシャルを見て理解したのか、笑っていた。
「私の友達のクライバートの聖女こと、エリス・クライバートよ!とっても美人でしょう♪」
行く先々でシャルはボクの事を紹介してまわり、気が付くとあたりは暗くなり、シャルの作り出したライトがボクたちを照らしていた。
愛想笑いで引きつった顔をライトのヒカリを浴びながら解し身体を伸ばしていると。
「あなたは……女神様か?」
声のする方に顔を向けると、ボクでもドキッとしてしまう程の美形の男性が驚いた顔をしていた。
「あ……」
誰だろう?
「お兄様、お友達のエリス・クライバートですわ」
「え?お兄様??ってことは王子様かしら??」
「あっ、すまない。あまりの美しさに見惚れてしまった。俺はスタンシアラ王国第1王子のリューク・スタンシアラだ。」
王族ともなると恥ずかしい言葉を普通に言えるのかしら?でも、前世で褒められた事なんてなかったから、案外嬉しいわね。
「お兄様もそんな事を言うのですね」
「あっ、これは失礼した。君がクライバートの聖女か。妹を宜しく頼むな。いつでも遊びにくるといいぞ。」
王族と知り合いになれるってことは……
処刑からは遠ざかる事が出来るかもしれないわね
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます