第27話 生活を豊かに


お風呂に入りたいわね……


王都の学園の寮とはいえ、水道が通ったのは最近。

そして、学生の寮という事もあって、貴族の寮とはいえ浴槽はなかった。


排水はある為、管を通って桶にお湯を溜めて洗い流す事しか出来ない。


鏡に映る自分の姿は前世で夢にまで見た女性の身体をしている。


膨らんだ胸にくびれたウエスト。

細い華奢な手足。

遺伝なのか分からないけど、首から下の毛は一切生えず、前世では無法地帯のジャングルだった脇も股もツルツルとしている。


最初はアーニャ達の裸を見て興奮していたけど、すでにその様な気持ちは無くなっていた。


階段で下からスカートの中を覗こうとする男子もいるけど、ボクはスパッツを履いていても、お尻に手を当てて見えないようにしている。


見て何が嬉しいんだろう?

TS転生をしたボクは男女の身体の構造は分かってきた。

無意識にボクは女の子の思想になっていた。



「エリスさまぁ?お背中流しますかぁ??」

「ミレーネ?来てたの。大丈夫よ。もう洗ったから。」



ミレーネとフレア。

2人も寮だけど、排水設備のない湯浴み場しかないらしい。、お湯を頭から被ることが出来るのは貴族の寮だけだから、2人もお湯を浴びに遊びに来てくれる。


「お邪魔しますっ!」

「あたしも...」


狭いお風呂場に3人...


「もぉ、ボクが出てから入ったらいいじゃない?」

「少しでも一緒に入りたいじゃないですかぁ!ねぇフレアさん」

「そうですよ。あたしだってエリス様ともっとお喋りしたいです!」

「フレアはこんなに細いのに剣を力強く振り回せるのもすごいわね。」


フレアの腕はボクより少し太いけど、華奢とも言える腕で剣を振り回すことが出来る事に驚きがあった。

ただ、ボクとミレーネとの違い。

フレアは脇の毛を剃ってる。

そして、股には毛が生えている。


魔法を得意とする人の特徴なのかしら?

それとも、聖女としての能力が関係してるのかな?

どうでも良い事だけど、この世界での身体の違いというものに少し興味が出てきた。



その翌日。

ボクはヴィンスネーク公爵に呼ばれた。


しかも!!


技術開発局のあるお城に!!


この世界では見る事の少ない、ビルのように見上げるほど高いお城。

奥の方から登ることが出来るみたいだけど、基本的に手前は2階建てで国の家臣たちが仕事をするスペースになっている。


要するに奥は王族が住んでいて、厳重に警備されているから、お城で働いている人でも入る事は出来ない。



「おぉ、エリス嬢よく来たな。」


「ヴィンスネーク公爵閣下ご無沙汰しておりますわ。それにお招き頂き感謝致します。」


「なに、そんなに畏まるな。こっちがやりずらいではないか。」


「いえ、お父様もお世話になっているのに失礼な態度はとれませんわ。」


「ほぉ。ダグラスの娘とは思えないな。あの研究バカは開発に夢中になると、ワシにも舐めた口をきいてくるというのにな。そらにワシは堅苦しいのが嫌いなんだ。頼むから畏まらないでくれ。」



公爵は50歳くらいのおじ様と言った風貌で15歳の小娘のエリスが生意気な口調は出来ない...


けど、頼まれたら仕方ないわね。

少しだけ砕けた口調でお話する事にしましょう。


「ここが技術開発局だ。研究室は他にあるが、ここでは理論や魔道具の調整を行っている」



沢山の机が並んでいて、お役所と言った感じかな?

パソコンなんて無いから、紙とペン。

それから、奥の部屋には魔道具が並べられていた。



「ヴィンスネーク様、この大きな魔道具はなんですの?」


机のような大きな魔道具がある。人の通る通路に置かれていて、使用頻度が高そうだから少しだけ気になった。



「これは複写の魔道具だ。文書を書いた紙を予め魔力を込めた紙にその文書を複写させるんだ。それで本を作ったり出来るのだぞ。」


なるほど!そうゆう魔道具があるから書籍も同じような物が沢山あるのね。

オフィスでは前世の電気やコンピュータを使って行っていた事が魔力や魔道具で補っているようね。


「して、どうだ?王都でもエリス嬢が発案した水道が少しずつ通り始めたんだぞ?」


「えぇ、見ましたわ。でも水道が後付けなので、お風呂を設置できていない所も多いそうですね」


「そうなんだよ!新築の物件には作れるが、なかなかな、魔法で通す分には問題は無いが、そのスペースを確保する事が難しいんだ。」


「それでしたら、お風呂屋さんを作っては良いのでは?熱を放つ魔道具で温度を上げてサウナというものも良いと思いますわ。」


「ほぉ、サウナなるものか。よし、エリス嬢。うちの開発局の奴らに詳細を伝えてくれ。そこは商業ギルドと開発していこう。」



ほとんどボクの趣味だけど、作って欲しい物を発案すると公爵 は目を輝かせていた。

少しでも住みやすくする為に仕方ないですわよね。





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