第24話 アルトとの訓練

放課後……


「アルトは寮では暮らしていないの?」


「うん、俺は家を借りているんだ。稽古する為には寮の部屋だと狭いからね」


暫くあるいて、王都の中でも郊外と呼べる地域にアルトの家はあった。

一般住宅よりは小さな家。

むしろ、学生の借家にしては大きいと思う。


「さぁ、上がって。裏庭があってそこで訓練しようか。」


部屋の中は異様に質素というか。

何も無い。

生活感がないんだけど。


「学園に通う上で不必要な物は持ってきてないんだ。そっちの部屋を着替えに使ってくれてかまわないよ。」



隣の部屋に行くとベッドがあった。


ブレザーとスカートを脱いで、ワイシャツのボタンに手を掛けた時に開けっ放しのカーテンに気がついて、カーテンを閉めた。

屋敷なら窓まで距離もあったし、同じ高さの建物は近くに無かったから油断しちゃった。


暗くなった部屋。


ここって...

あの時の夢の部屋?

ここで処刑ルートのボクはアルトに抱かれた。


なんだか不思議な気分。


着替え終わると、裏庭で手合わせをした。

剣を振れない訳じゃないけど、子供のお遊び程度しか出来ない。


アルトはそんなボクの剣を軽く弾いている。


「エリスは身体強化はしないのかい?」


「身体強化?」


「うん、魔法だよ。使うと全身が軽くなって、力が増えるんだ。例えば腕に身体強化をするとこのように、太くなったり、筋肉をいじることが出来るんだ。」


ボクが使ってた魔法は体の外に出す放出系ばかりだった。

それを体内に留めるって結構難しい。

苦戦してる姿を見せるのは、力を隠すのには丁度いいわね。


「そうそう、魔力が流れ始めたね。エリスも魔力の流れは見えているよね?」


「え、まぁ。わかるけど。」


「なら大丈夫だ。家の中で練習しようか。」


家の中に入ると、突然アルトが服を脱ぎ出した


「ちょっと...アルト?」


「ほら、見て?心臓から腕に向かって魔力が流れてるのが見えるかい?」


「え、うん」


「腕まで行くと、放出されずに回路が詰まった魔力は新たに動き出さずに止まってしまうんだ。」


「うん、わたくしの魔力は止まってるわね」


「お腹より下に魔力は通ってないんだ。お腹から足まで魔力の回路を作るようにイメージしてごらん」


すると、足先まで魔力が通り始めた。


「あとは腕で往復させるイメージをつけてごらん?それで魔力は身体の中で循環するんだ。放出する場合も今までの心臓から腕よりも下半身の分で威力も付くはずだよ」


1時間ほど練習をすると、ボクにも身体強化の魔法が使えるようになった。



「やっぱりエリスはすごいね」


「これはアルトの教え方が良いからですわ」


「そんなことは無いさ。普通は1年かけて習得する事を1時間たらずでやったんだ。エリスは特別な力がある。俺の予感は当たっていたようだ」


「いや...たまたま...じゃないかしら?」


「たまたまで出来たら世の中の魔法士は辞めちゃうだろうね。」



これはヤバイわね……

でも、アルトに教えて貰ったら覚えられたし。


本当にアルトってなんなんだろう。



「アルト、ありがとう。もう遅くなるから、わたくしは帰りますね。」


「あぁ。付き合わせてすまないな。疲れてるだろ?飲みやすくした回復薬だから、これを飲んでから帰りなよ」


「ええ、頂くわね。喉が渇いちゃってたもの。それにアルトの教え方が良いから覚えられたんですわよ」


そのあと、急いで寮に戻ると、部屋にフレアとミレーネが来ていた。



「エリスさまぁ?男子と遊んでたって聞きましたよぉ?」

「すみません、アルトさんと帰っているのを見てしまって...」


「フレアが言ったのね...」


「それで?どうでした??何か進展はありましたか??」

「アーニャ……」

「私は学園に通ってないんですから!教えて下さい!!」


何か恋バナを期待しているようだけど...

そんな事ないのに。


これが女子なんだろうね。




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