第22話 友達っていいな
「エリスさまぁ〜!何をなされてるのですか??」
「ミレーネ...先生に頼まれて資料を教室に運ぶ所よ?あなたこそどうしたのかしら?」
「えっ、エリス様がですかっ!私が持ちます!貸してください。」
「いいのよ。学園では貴族も平民も平等なのよ。だからミレーネとは従者でもなんでもなく。友達よ?」
「私とエリス様が友達...?」
ちょっと...ミレーネ??
なんでそんな反応なのよ!!
「ボクはミレーネもフレアも友達として接してるんだけど。嫌だったかしら?」
「いえ...嬉しいですっ!!フレアとも、いつも話をしてたんです!エリス様は従者の私たちにも友達みたいに話をして下さって、立場が違ったら友達になれるのにね!って。」
「そう。良かったわ。どうせならエリスと呼び捨てでも良いのよ?」
「それは...辞めてください。ジョセフさんや領内の人達に怒られちゃいます...」
「それもそうね。でも、ボクはアーニャも含めて気の許せる友達と思ってるよ。だから学園では友達として接して欲しいわ。」
「はいっ!フレアさんにも伝えておきますね!」
「フレアにも会うのかしら?」
「はいっ!同じクラスで隣同士の席ですよっ!」
一緒なんて羨ましいわね……
クロエとシャルとは仲良く出来たけど、特進クラスとあって、なんだかみんな自信に溢れてる感じがして苦手なのよね。
「それじゃ、ボクは教室に資料を持っていくから、また後でね」
「はいっ!あとで特進クラスのお話を聞かせて下さいねぇ〜」
ボクが教室に戻ると、男子はニヤニヤと見てくる。
前世のボクでも、入学初日に大ゴケしてパンツ丸見えになった美少女が居たらみちゃうから仕方ないわよね...
それでも男子の視線は不快なのよね。
「エリスさぁん!私も手伝いますよ。」
「クロエありがとう。」
ここは領地ではない。
貴族と平民が平等とはいっても、この世界では男尊女卑のがあり、女性は男性よりも下で見られることが多い。その代わり、冒険者などで結果を出した女性は認められると男性社会の中に入りやすいのよね。
だから...男子の行いに女子が何か言うことはなく、クロエのように誤魔化してくれるくらいしか出来ない。
そして、プリントを配っていると、転ばせようと足を出してくる男子。
特進クラスとはいえ、幼稚だなぁ。
「ちょっと男子!いい加減にしなよ!キモイから!!」
えっ?シャル??
「なんだお前!女子が調子に乗るなよ!!」
「男子だからなんなのよ?今は男子も女子も関係なくなってきているのよ?時代の流れに乗り遅れるなんて致命傷よ?」
「な、なんだと!」
「クライバート領では女性が働いて活躍出来る所なのよ?そのように改革をしたのも女性よ。時代に乗り遅れないようにしてね?男子様!!」
シャルはボクの事を言っていた。
数人の人はボクの顔を見て、何かを悟ったような感じだ。
エリス・クライバートという名前は知れ渡った。
そして、エリスと名乗ってる。
王都からクライバート領に来た人達は土産話のようにボクの話を王都で広めた。
シャル...ボクの事に気が付いてるんだ。
この子はいったい……
「このやろーーー!!」
バカにされた小太りの男子がシャルに殴り掛かった。
スッ……
重力が無いかのように綺麗な動きで躱すシャル。
「すぐに暴力?特進クラスはそのような場所では無いはずよ?」
「くっそ!!」
まだ続くと思われたが、そこで先生が入ってきた。
「はーい、お前らそこまでだ。席に着けよ。」
渋々席に着く小太り男子。
「シャルロッテ、君も席に着くんだ。」
「分かりましたわ」
「そんで、男子はネロったか?お前、情けねーな?エリスに嫌がらせしたんだろ?」
「女子が調子にのるから。」
「おい、エリス。お前は調子に乗ったのか?」
「何のことでしょう?わかりませんわ。」
「先生、この金髪の女もだ!」
「シャルロッテ、君は調子にのったのか?」
「この男子から比べると、乗ってないですわ。」
「まっ、ネロ。お前は特進クラスに相応しくないな。出ていけ」
「なっ!!」
パンパンッ
先生が手を叩くと、入口から王都の騎士が教室に入っていってネロを連れていった。
「ここは学園だ。その中でもトップの特進クラス。頭脳、商才、武芸。いずれのトップクラスとも言えるメンバーが揃ってる。ただ、内面がそぐわない奴は特進クラスには相応しくない。心しておけよ。」
これは釘を刺したということなんだと思う。
「シャル、助かったわ。ありがとう」
「なによ、エリス。私たちは友達でしょ?当たり前じゃない。」
ボクは素直にシャルの優しさが嬉しかった。
前世で体験出来なかった友達関係。
処刑ルートから回避しようと必死に改革して。
人への嫌がらせもしなかったら。
こんなに友人に良くしてもらえるのね。
夢のエリスの様に心がねじ曲がらないで済むのは、友達のおかげのようね。
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