第20話 勇者アルト



……これは。夢...かしらね?


あたしはエリス...

お母様を亡くして、お父様は王都で働いて。

ずっと寂しくて。

イタズラばかりしていた。


メイドに嫌がらせをしたら、お父様が帰ってくるのではないか?叱りに会いに来てくれるのではないか?


でも、そんな事はなく。いつの間にかメイドを虐める事がストレス発散になっていた。


そして、あたしには光魔法が使える事が発覚して...

気持ちは助長するばかり。


あたしは世界に選ばれた特別な人間。


聖女に認定されてからは、あたしの周りには、あたしのワガママを全て聞いてくれる人達ばかりになっていた。



そして、あたしのハートを撃ち抜く好みの男性が現れた。


時を同じくあたしのあとに勇者認定されたアルト様。


15歳の夏。

あたしは恋に落ちた。


誰にでも優しく接するアルト様。


「君が聖女エリスだね?アルトだ。君とは同じパーティになるようだから、宜しくね。」


「はい...アルト様」


〜〜〜〜〜〜〜〜

夢なのにボクの鼓動が激しくなっている事に気がついた。

〜〜〜〜〜〜〜〜


パーティメンバーはまだ2人しか決まっていなく、あたしとアルト様は2人で訓練をする機会が増えていた。


アルト様の振るう剣は美しく、軽々とした立ち振る舞いもあたしの目を釘付けにしていた。



「エリス余所見をしていると危ないよ?低級とはいえ、モンスター討伐なんだからね。」


油断しているあたしに襲いかかってきた角うさぎ。

それを1太刀で仕留めて、あたしを守るような抱き寄せるアルト様。


「大丈夫かい?」

「...はい」



その吸い込まれるような瞳。


見つめ合い……


アルト様はあたしに口付けをした。



「あっ、いや。ごめん。あまりにもエリスが美しくて」


「いえ、嬉しいです」



……………………

場面は変わり、暗い寝室。


身体全体が火照って、下腹部には何とも言えない痛みがあり、でも心地よい。


「エリス?俺たちの関係は秘密だよ?」

「はい...アルト様」


ベッドの横から現れた裸のアルト様?


自分の意思では身体は動かなく。

夢の記憶だからか……


覆いかぶさったアルト様に抱きついて、開いた股の中に入ってきた。



あ……理解した。


「エリス愛してるよ」

「あたしもです」


そして、肝心な所で場面はかわり。



勇者認定されたアルト様。


「エリス、君でも全員を守る事は無理だ。怪我人は戦える者にとって邪魔だからね。それを排除するのも君の仕事だよ?」


その瞳に惑わされるように、アルト様の言いつけを守り抜いた。


さらに、月日は流れ。


「アルト様……あたしのお腹に...」

「俺たちの子供だね」

「はい...」


「でも、君は聖女だ。子供は産ませるけどエリスには産ませない。」

「え?」


アルト様があたしのお腹に手を当てて光を帯びた。


「俺の故郷へと転移させた。全てが終わったら。成長した子供を見にいこう。2人で育てるんだ」


「……はい」


夢の中の記憶。

当事者であって当事者ではない。

だから……わかる。


エリスはアルトに洗脳されている。


そこから、アルトの命令でクライバート領から連れてきたもう1人の聖女ミレーネ。


ミレーネとも関係をもち、子供を作ったエリスは用済みというわけか……


アルトが離れていく恐怖で残忍な事を繰り返し。

最後はフレアに捕まる。


アルトは何者?

アルトの故郷とは?



処刑ルートになる大元はフレアじゃない!

アルトによって洗脳された事で起きた事。


勇者アルト……


ボクが1番警戒しなきゃいけない相手なんだね。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「エリスお嬢様?お目覚めになられましたか?」


「アーニャ...もう大丈夫よ。なんかアーニャにお嬢様って呼ばれるのも久しぶりね」


「この寮は各地の貴族の方が集まっていますからね。お世話をする専属の従者はお嬢様とお呼びする事が習わしなんです。なので、王都ではお嬢様とお呼びしますね」


「なんかよく分からないけど、任せるわ。」



15歳の夏。

要するにあと3〜4ヶ月の間にアルトとパーティを組むことになるのね。

今のボクは聖女認定されていないし、どうなるのか分からないけど。


まずは、アルトを探し出して対策を練らなきゃダメだね。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ご意見ご感想を宜しくお願い致します!

コメントを頂けるとモチベーションが上がります!!

(՞ ܸ . . ܸ՞)゛





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る