第18話 浅はかな考え



冒険者、騎士団。

スラムの貧民、盗賊...人攫い

この世界では理不尽に死を遂げる人達や戦いで命を落とす人が数多く存在する。


それは逆に殺す側の人もいるということ。

日本よりも、遥かに人の命の重さが軽い。


夢の中のエリスも多くの人を殺したようだし、結局自分も処刑される運命になっているし。

色々な危険が溢れているこの世界でボクは何を油断しているんだろう。


領地に引きこもって外の危険は情報として本を読んだり人伝で聞いていたけど...

前世で言うなら、海外で事件や戦争があった。自分には直接関係ないと思っていた。そんな感じだ。



オークを倒して、それが低ランクモンスターじゃなかったって知って、チートとも呼べる魔法を使えて。

自分は大丈夫って慢心して、身近な子達が傷付く結果なんて想像もしてなかった。


処刑ルート回避の為に人に優しく?

我ながらよく言えたものね。


もし、ボクが油断していなかったら違う結果になっていた。


もし、魔法に頼るのではなく、護身のための体術を訓練していたら逃げ出せた。


それは、フレアが人を殺さなくても良かった結果にもなり得たって事よね。


いずれ、このような事が起こっていたとは思うけど、その為のケアを怠ったわね...



「エリス様、フレア。もう大丈夫です。賊は全て捕らえられました。」


「アーニャ、ありがとう。それにしてもクライバート領の家紋を付けた者たちが多くない?」


少数の護衛のはずなんだけど、ざっと見でも100人くらいいる?


「旦那様がこっそりと技術開発局の兵士を付けていたんです。エリス様に気付かれないように街では離れて居たので対応が遅れてしまい申し訳ありません」


「お父様が?」


「はい。過保護な方ですから。フレアも良くやりましたね。貴女はエリス様を護れたのだから誇っても良い事なのよ?私たちにとって最優先はエリス様なのですから。」


「はいっ!あたしはこの剣に誓ってエリス様をお護りします!」



高々と剣を突き上げるフレア...

感動的な場面だ...


でも、その姿は処刑ルートのフレアと重なって苦笑いをしそうになった。


ボクも体術と魔法の発動についてもっと学ばなきゃなぁ。それから、やっぱり友達が傷付く所は見たくないし。


どうやったら、この3人を護れるかな?


友達を...大切な人を護りたい……


胸に手を当てて願うと、薄らと胸元が光った気がした。


物理攻撃の耐性のあるオーラがあれば、3人に着けたいわね。オートカウンターなんかも良いかもしれないわ!

そうゆう魔法があれば良いなぁ。

学園に図書館があったら調べてみましょ!



「エリス様、今日は私のお部屋でお休みしてください。もちろんフレアもね。」


「えぇ〜2人だけずるいですぅ!私も行きたいっ!!」


「ミレーネもですか?狭いお部屋に4人は窮屈です。」



「そうですわね。なら、いっそ皆でテントに寝ましょうか。アーニャ?それでもいいかしら?」


「はい、エリス様。」



小学校の頃に前世の両親と行った以来のキャンプ。

テントでみんなでお話するのも良いですわね。


1人の時間も欲しいけど、やっぱり仲間といる時間はボクにとってはかけがえの無い時間だと思う。



「キャンプの場合はおトイレはどうするんですかぁ??」


「小川の畔で影に隠れてするのですよ」


ミレーネの質問に普通に返答するアーニャ。

旅に慣れていないミレーネとフレアは引き気味の表情をしている...

まぁそうなるわよね。



「なら、川の畔に土魔法でドームを作るわね。足場は作るけど川に落ちないように気をつけてね。」


ボクは川の畔に向かった。



うん、この辺りだと川が深くないし良いわね!

先に足場を作って、しゃがんで足場の確認をしてから、ドームを作成しようと思った。


「お嬢様。簡易の厠を作っております。そちらをご利用ください。」


「え?」


「どうぞ、こちらへ」



人の気配が無かったのに……

もしかして、移動中ずっと監視されてるわけ??

お父様がこっそりと護衛を増やしていた事も驚いたけど。


どれだけ過保護なの!!



その頃、エリスのいないテントの中ではフレアがペンダントを握りしめていた。



「旦那様から頂いたペンダント。このペンダントがエリス様の危機を教えてくれました。衣服が強化され傷が付かないですし、それぞれの危機を伝えてくれる魔道具なのですね。」


「フレア、このペンダントはご主人様が造られた大変高価な物なの。それを私たちの分まで...旦那様は本当にエリス様を大切にしておられますね。」


「なら、どうして男爵様はエリスさまを置いて王都に行ったんですかぁ??」


「私もその頃は居なかったので直接は分からないけど、ジョセフさんに聞いた話では以前は家庭を顧みずに王都での研究に没頭していたらしく、お金を領地に送るだけで、前領主の娘。つまりエリス様のお母様が領地を運営していたの。」


「あぁ。婿さんってことですかぁ。」


「そのようね。奥様が亡くなり、旦那様もお戻りになりたかったようですが、 すでに技術開発局では旦那様は、いなくてはならない存在になっていたようなの。きっと、色々あったと思うけど、貴族がいかなる理由があろうと、仕事を投げ出してしまう事は爵位剥奪になるからじゃないかしらね。」


「2人とも、エリス様がお戻りになられますよ。お話はそのくらいで!」




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