第17話 たまには1人で開放的になりたい

「エリス様。本日はこちらの街で1泊致します。」


「分かったわ、アーニャもゆっくり休んで。」


「アーニャさん、まだお外は明るいですよぉ??この先にもまだピエルの街がありましたよねぇ?」


「ミレーネさん、ここからは森を抜けねばなりません。日没までに森を抜ける事は困難なので、早めに宿に入るのです。」



アーニャの言う事は正しいと思う。

夜の森は昼とは違って高ランクモンスターが活動し始める時間だ。

ただ、言葉には出していないけど、ミレーネの心配事としては、治安の良い街ではないと言うこと。


フレアも居るし、護衛の従者は必要最低限にしている。ボクたちが王都に行くからってゾロゾロと着いてこられては時間の無駄だし。

お父様の技術開発局クライバート支部の仕事もあるし、そちらを蔑ろにはしたくなかった。

それは娘心というものなのかもしれない。



それでもボクはワクワクしていた。

何故?

エリスになって初めての外泊!

初めての宿!


楽しみじゃない訳がない!!


護衛は外でキャンプを作るみたいだから、ボクたち4人はそれぞれ部屋を借りた。


しかしみんな別々の宿...

予約とかしてなかったから仕方ないのだけど。

アーニャはキャンプも考えたみたいだけど、ボクとしては1人になれる時間も欲しかったし、ゴリ押しした形になった。



それで!!


ビジネスホテルのように小さな部屋だけど!

初めての外泊に胸を踊らせた!


へぇ!部屋に湯浴み場がある訳じゃないのね。

トイレも外の厠なんだ!!


人間は不思議な物で普段の生活は便利さを追求するけど、旅先では多少不便な事も許容できるというか、それを楽しむ傾向にある。


湯浴み場は小さな個室になってて、入る前に店員からお湯の入った桶を渡される。

クライバート領以外ではお水の確保やお湯を作る事も重労働だし、しかたないよね。


タオルで身体を拭くだけなんだけど、思ったよりもスッキリする!


「あっ、お待たせしましたわ」

「おっ、べっぴんさんの後か!いい匂いがしそうだぜ」

「いやですわ...」



個室は男女共用。

ボクの後には数人が並んでいてセクハラじみた会話をされたけど、この世界なら問題視されないみたい。


湯浴みの後は4人で食事をしてから、それぞれの宿に戻った。


屋敷にいると、何か異変や、うなされたりするとみんなが駆けつけてくる。

でも、今日はそれはない!

入口のドアに木の棒で鍵を閉めて、着ている物を全て脱いで真っ裸になった!!



すっごい開放感!!

前世でもたまに全裸で寝るとかやってたなぁ。

懐かしい!



だからといって、変な事をする訳でもなく……

眠たくなった時にパジャマを着て眠りについた。


夜中に何かあったら大変だからね!




そして……




「やぁ、お嬢さん。あんた裕福な家庭だろ?」



え?だれ??



「大人しくしてくれるか?なぁに、お前の親からたっぷりとお金を貰うか、それがダメならお前は商品だからな!ヒッヒッヒ」


魔法で応戦する?

いや、魔法は手のひらから放つから、いつの間にか縛られた手では魔法も使えない。


「可愛い顔して、おっぱいも小さくて可愛いじゃないか。こりゃ小さくても高く売れそうだなぁ。っち、随分と頑丈な服を着てんだな」


おっぱいって揉まれたら気持ちいいのかと思ってたけど、痛いだけじゃん!

しかも、こんな盗賊みたいなやつに揉まれるなんて...


最悪……

何故か服を破られなかったのは不幸中の幸いね。


「自分が何をしているのか理解しての行動?」

「理解してなきゃ、やってねーよ。」

「それもそうね」


とりあえず部屋から出る時に……

いや、ここは3階だし、もしかすると宿もグル?

治安の悪い街と聞いていたけど、想像以上ね。


「よしっ、立て。窓の下には仲間がいるんだ。なぁに、突き落としても下で受け止めてくれるさ」


これは...やばい!!



男が木の窓を開けた瞬間。




スパッ……


ボトッ……



横を向くと、首が無くなった男……?



「エリス様。ご無事でなによりです」

「フレア?」

「はい。異変を察知しましたので。下では護衛とミレーネさんが残党を無力化しています。時期に警備兵も来るでしょう」


「フレアありがとう」

「いえ、エリス様なら何とか出来ると思いましたが、来てしまいました。」

「ううん。助かったわ」


突然の人攫い。

正直、少しビビった。

そして、不安からフレアの手を握った。

でも、フレアの手は物凄く震えている。


「初めて……人を殺しました。エリス様が縛られているのを見てマズいと思い...」


「フレア...ごめんなさい」


「エリス様が謝ることは何もありません...」


「ボクが浅はかだったのだもの。申し訳ないことをしたわ。」


「エリス様...みんなが心配しています。外へ出ましょう。」



ボクたちは外に出て皆と合流した。




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