第15話 恐るべき女子勢


「ねぇねぇ、学校の1つ上のマーフィくんってカッコよくないですかぁ?」


「うん、あたしの学年でも人気ありますよ!エリス様はどう思いますか?」


「え…どうかな??」


アーニャはメイドの仕事があっていないけど、海水浴から帰ってきて、ミレーネとフレアの3人でボクの部屋に集まった。


女子3人……しかも思春期。

フレアはボクたちより1つ上の学年だけど、王都の学園では同じ1年生となる。


そして思春期の2人が来ると必ず恋バナになってしまうのはどこの世界でも同じなんだろう。



「あたし達の学年ではミレーネさんも人気なんですよ?」


「そうなんですかぁ??誰も声を掛けてくれないですよぉ」


「ミレーネは男性から声を掛けられたいの?」


「えっ...エリス様はそう思いませんか?」


「うん、ボクにとって領民は子供みたいな感じだもの。」


「領内でも、王都でもエリス様の人気は凄いようですよ?ゆくゆくは貴族の方...もしかすると王族の方から求婚されるかも知れませんね!」


「そうね...あまり興味ないわ」



そりゃ...イケメンを見かけるとキュンとする事もあるけど...

生理が来てから女性思考になってるし。

でも、やっぱり前世の記憶があるから、男の人とどうこうしようなんて思えない。


「エリスさまはスレンダーで肌も綺麗で羨ましいです。何を食べたらそんなに綺麗になれるんですか?」


「それはそのままミレーネに言いたいわ。そんなに大きな胸は羨ましいもの」


「あたしも剣士としては邪魔ですが、プライベートではミレーネさんの胸は羨ましいです」


「えぇ??邪魔なだけですよぉ??」


イラッ……


フレアと目を合わせて。


「いやぁ...2人ともやめてくださいよぉ……」


2人でミレーネを押し倒して胸を揉んで襲いかかった。


もちろん、じゃれてるだけ。


「あっ...んっ♡」


「エリス様!ミレーネさんが変な声を出してます」

「フレア!まだまだお仕置よ!」

「はい!」


フレアはミレーネに抱きつくように押さえ込み、ボクは、じたばたさせている足を掴んだ。


ボクの目線には……

フレアの突き上げられたお尻を覆う水色のパンツ。

ミレーネの開かれた足の奥に見える白いパンツ。



うーん。前世なら死んでも良いって思える光景なんだろうなぁ。


今はじゃれあいを楽しんでるんだけど。


フレアはミレーネの胸を揉み、ミレーネは足をバタバタとさせてフレアの股に太ももを当てていた。


男なら潰れちゃって痛いんだろうなぁ...

でも、なんかエッチだなぁ。


ボクは観戦者。


疲れ果てた2人は仰向けになって笑ってる。


楽しい。


えっ??


2人ともパンツにシミ?

漏らした??


いや、これってもしかして??



ボクの股間も少し熱くなり...


もしかして……



ボクもチビった??



「2人とも、お風呂に行きますわよ?汗かいたでしょ?」


「「はい!」」



40歳童貞。佐伯天馬。

その意味に気が付くのはもう少し先のお話。



「ねぇ、次の休みに3人で郊外に行ってみない?」

「どうしたんですか?」

「魔石が欲しいのよ。この間のオークの魔石で試しに作ってみた魔道具があるんだけど、量産したいのよ」


「もしかして、これですか?」

「そう!これはね、扇風機と言って風魔法のような物なの。暑い時期には必要な物よ?」

「すごいですっ!!風が気持ちいいですよぉ??」


先に扇風機の前に立ったミレーネが胸を持ち上げて涼んでる



「フレア?」

「はい!」


「いやぁ...フレアやめてぇ〜」


あっ……


「ねぇ、2人とも避けてくれる?」


「はぁはぁ...どうしたんですかぁ??」


《アイスウォール》


扇風機の後ろに氷の壁を作って冷気を風に乗せてみた!



「「えっ!!!」」


「どお?名案だと思わないかしら?」


「エリス様...オークの時もでしたが...氷魔法って水魔法の上位版ですよね?どうして使えるのですか?」


「へ?」


「水魔法でさえ普通は使えないですよぉ??水を凝縮させる魔法を使えなきゃ、氷魔法は使えないんですよぉ...」


「そうなの?ミレーネも使えないの??」


「使えるわけないじゃないですかぁ!私は水魔法も使えません!」


「エリス様は異常です。あまり外で見せない方がいいですよ?きっと色んな所から引っ張りだこになって、エリス様の行動が制限されてしまいます。」


「そうなの??イメージしただけなんだけど...」


「「イメージ!?」」


「魔法は普通理論が必要なんです...私は魔法を覚える為にずっと理論の勉強をしてるんですよぉ……どうやって覚えたんですかぁ?」


「え...ボクは書斎で調べて...こんな感じかな?って...」


「エリス様、ミレーネさん。この事は時が来るまで隠していた方がいいですね。学園を卒業してからじゃないと王宮に呼ばれてしまいます。」



フレアはボクの気持ちを理解してくれるんだよね。

やっぱり持つべきものは友達ね!


「エリスさまって、もしかして光魔法も使えますかぁ??」


「え...いや...つ、使えるわけないじゃない...」


「怪しいですねぇ...エリスさまが魔法を唱える時って凄く暖かいんですよぉ。それって光魔法を使える人の特徴って本に書いてましたよぉ?」


「そ、それならミレーネもじゃないかしら?」

「私は全然ですよっ!!」


「もし、その事が公になったら、聖女認定されて魔王討伐に行かされちゃいます!今は隠しましょう」


「フレア?何故確定した話し方なの?」


「あたし達に嘘をつくのですか?」


「うっ...まっまぁ。使えるわよ?」


「ちなみに、アーニャさんも気が付いてますけどね?あたしたち以外は知らないですよ。」


「なぜ??」


「アーニャさんは女の勘!って言ってました」



恐るべき女子勢……

気を付けなきゃダメね……




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