第13話 自重したつもりなのに...


「お嬢様、お花を乾燥させたり蒸留させたりしてオイルが出来ました!」

「やっと出来た??お疲れ様!アロマオイルと言って、とても肌にいいのよ?」

「ハーブとかを沢山使うので量産は難しそうです」

「まぁ、仕方ないわね。香水としても、これは社交場で使う事が多くなるから貴族向けのようね。あとで金額設定しましょうね」


「お嬢様!!このボーガンってやつは弓矢よりも簡単ですわ、これなら女、子供でも扱えるんじゃねーですか?」

「そうね。狩りは男の人任せになっちゃってるわね。怪我をしないように気をつけてね」

「もちろんです。こいつは街の防衛としても使えます。狩りは男に任せてくだせぇ!」


「お嬢様。ケーキを作ったので食べて下さい!」

「あら、ありがとう!頂くわ」



嫌悪感を示されていた領民も今は、ボクが歩くだけでみんな話しかけてくれるようになった。

最近は処刑ルートの夢も見なくなったし、ルートが変わったのかしら?

でも、油断は禁物ですわね。気を付けなきゃ。



「エリス様、これからあたしも狩りに同行してきます。」

「フレアが行くの?なら、ボクも行ってみようかしら。」

「エリス様がですか??危険では...」

「フレアも行くのですもの。ボクも街の外をたまには見なきゃね。行くよっ!!」

「ちょっと...エリス様!!」


ジョセフやアーニャに見つかったら絶対に行かせて貰えない!

ボクだってたまにはモンスターに魔法を試してみたいし。その為には、まずはどんな感じなのか見てみないとね。じゃなきゃ1人で街の外に出るのは怖いもの。


そして、ボクはフレアについて街の外に出る事に成功したのだけど、その頃にはフレアの顔色が青ざめていた。


「エリス様は私から離れないでください。」

「離れなかったら、フレアが戦えないじゃない。これでも多少は魔法を使えるのよ?」

「それでもです!!お嬢様を危険に晒したなんてバレたら怒られますから。」


きっと、あたしの勢いに負けたけど、いざ外に出たら自分の行動が浅はかだったって気が付いたのね。


ごめんね、フレア。



「エリス様、Eランクモンスターのワイルドボアがいるようです。先遣隊が惹き付けてますので、少し離れます。隙を見て私も討伐に参加しますから、エリス様は隠れていてください」


「えぇ。わかったわ」


きっと、テンプレではフレアが離れたらボクが襲われるパターンだね。



……


人生テンプレ通りにはならず。

フレアが加わってワイルドボアを仕留めた。


「おぉフレアは強ぇな!」

「いえ、2太刀も切ってしまいました。一撃で仕留められないとエリス様にお仕えできません。」

「自分に厳しいなぁ。フレアに守られんならお嬢様も安心だろ!」



いや...フレアに剣を突きつけられた夢を思い出して、ちょっとチビりそうになっちゃった……

でも、フレアも強くなってるみたいだね!

みんなの戦闘を見てたら、なんかボクもウズウズしちゃったし、初級魔法ならいいかな?

農地で地属性は使えるって知れ渡ってるし。

軽くなら大丈夫!!



「エリス様!オークの群れが現れました!離れてください!!」

「ボクも魔法を放ってみたいわ。」

「だ...ダメです!」


フレアは止めてきたけど、少しくらいなら!ボクはフレアの横を通り過ぎると、同行した冒険者たちも道を開けるように離れてくれた。



オーク五体ね!



アースボール岩の球


ボクの周りに小さな5つのアースボールを作り出した。

2メートル以上のオークに大してゴルフボールくらいの大きさだけど、これなら怪しまれないよね?

本当はもっと大きな物も作れるんだけど。



ボクは5つのボールを操り、オークの頭に向けて発射した。


それぞれ独立しているように障害物を避けてオークの頭を目掛けて飛んでいく。

別に操作している訳じゃなく、着地点を定めておくと魔法が勝手に目的地へと石の球を運んでくれる。



ゴンッ!!!グシャッ……


額やこめかみに石がめり込み、5体のオークは全滅した。

ワイルドボアやオークって前世のラノベで聞いた事もあるし、少し強い程度の雑魚モンスターよね?



「へっ...エリス...様??」


「フレアどうしたのかしら?」


「どうしたのじゃありませんよ!!オークはCランク上位のモンスターですよ!群れともなると討伐にAランク冒険者が呼ばれるくらいなんですから!!」


「でも、みんなボクの魔法の為に道を開けてくれたわよ?」


「みんな逃げてたんです!!」


「え?そうなの??でも、ボクの小さなアースボールでも倒せたわよ?」


「そもそも!!普通のアースボールは農地で作っているスイカくらいの大きさがほとんどなんです!余程の魔力を込めないと威力のあるアースボールは作れないですし、ましてやイチゴくらいの大きさで作るなんて聞いた事もありません!!それにあの威力……私は見た事なんてありませんよ!」


「え...そうなの?」


「そうです!!しかもオークなんて女の子が相手にしてはイケナイって冒険者ギルドでは有名なんですよ!」


「オークが?何かあるのかしら?」


「それは...オークやゴブリンは、その...あんな事やこんな事をされちゃったりして、孕まされて殺されちゃうんです...」



なるほど、そうゆう系のモンスターって事なんだね。

へぇ〜



「フレア?あんなことやこんな事って何?ボクには分からないんだけど?」


「それは...キ...キスされたり。その...服を脱がされて乱暴されたり...」


「どんな乱暴??」


「もぉ!!エリス様ニヤけてるじゃないですかっ!!分かってるのに意地悪です!」


「ごめんねフレア。ボクのアースボールが異常なのは分かったわ。秘密にしておいてね?みんなにも伝えておいて?」


「一応言いますけど...無理だと思いますよ?」


「どうして?」


「みんなエリス様の事を自慢したいんです。領民はみんなエリス様の事が好きですからね!」


「それは...ちょっと照れるわね。でも当然の事をしてるだけだもの。領民の為であり自分の為よ?だからそんなに大層な物じゃないわよ」



ヤバイヤバイ...

目立ってしまったら、聖女にされて処刑ルートに行っちゃうじゃない!!

ボクは女の子のあり方や生活水準を上げて処刑ルートから抜け出したいだけなのに……


だが、当然...オークの死体を持って帰った事で街はエリスのオーク討伐でお祭り騒ぎとなった...



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ご意見ご感想を宜しくお願い致します!

コメントを頂けるとモチベーションが上がります!!

(՞ ܸ . . ܸ՞)゛

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る